黄巾の章
第3話 「俺たちは、勝つ」
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げ出した、だ?」
「はい、こちらが仕掛けようとすると、さっさと逃げていきました」
「は、腰抜けが! なにが義勇軍だ!」
「「まったくだ、ギャハハハ!」」
男達はそう笑い、酒を飲みだす。
「おう、戦勝祝いだ、酒を出せ」
「は!」
「くく……おもしれえな、黄巾党は。官軍も役にたたねえ、義勇軍も腰抜け……こんなやつらに今まで俺たちは、税を納めてへいこら従っていたのかい」
男は、自嘲気味にそういうと酒を煽った。
だが、そう言った男達が酒を飲み、寝入った深夜――
ジャーン、ジャーン、ジャーン!
「!? なんだあ!?」
「や、夜襲です!」
見張りの男が飛び込んでくる。
どこかが夜襲を仕掛けてきたらしい。
「ちい……敵の数は!?」
「そ、それが……たいまつの量を見るに二千程で」
「二千……昼間の義勇軍のやつらか。舐めたまねを……」
「いかがいたしますか!?」
「決まってんだろう、迎撃だ!」
男が叫び、その場に転がっていまだ寝ている仲間を蹴っ飛ばした。
「おめえら、いつまで寝てやがんだ! 舐めた敵がきてんだよ! 起きやがれ!」
男はそう言って、のろのろと起き出す仲間を忌々しげに見下ろす。
「おら! 半数は打って出て、半数は陣を守らせろ! 俺は出るぞ!」
そういった男だったが……
「なにい! また逃げ出しただとう!」
いざ、陣から打って出ようとした時になって相手がたいまつを消し、忽然と姿を消した。
「ヤロウ……おちょくってやがんのか!」
男は叫ぶが、敵が消えた以上はどうしようもない。
「くそっ……しかたねぇ。おまえら! 敵はまた来るかも知れねえ! 周囲に篝火をもっと炊いて、敵の奇襲に備えやがれ!
そういった男は、憎々しげに敵が消えた方角にある闇を睨んでいた。
―― 朱里 side ――
「おはようございます、盾二様」
「ああ、おはよう。昨日の陽動はどうだった?」
「はい、大成功です」
私がえへん、と胸を反らせると、盾二様は私の頭を撫でてくれました。
「よくやったね。お疲れ様」
「えへへ……」
「いいなあ、朱里ちゃん……」
隣にいる雛里ちゃんが、羨ましそうに指をくわえています。
「ははは、今日の陽動も成功したら雛里も撫でてあげよう」
「が、頑張りましゅ!」
あ、雛里ちゃんの目に炎が見えた。
「これを三日繰り返して……あとは予定通り、だね?」
「はい。第一の本番は三日目と四日目になります。特に三日目の仕掛けが肝要かと」
「まあ、そこは俺と鈴々に任せてもらおうか。せいぜい派手にやるさ」
「ですけど……本当にご自愛ください
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