第3話 湯上りのフルーツ牛乳は基本だそうですよ?
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実で有り、今の自分たちでは対処出来ない可能性も少なくはないのですが。
「この地の大地を復活させるには、失われた自然との絆を取り戻し、自然の大地を、人間が暮らして行ける産土の地に戻す必要が有ります。
そして、西に存在するのは根の国。その方角から、死の風や、根津魅などの禍津霊がやって来るのなら、その禍の源を鎮めなければ成りません」
湯気が、再び水滴と成って湯船に波紋を作り上げる様を見つめながら、ハクはそれまでと変わらない穏やかな雰囲気で、そう話した。
但し、内容は非常に危険な物で有り、そして、自然と人間との仲立ちを行う存在以外には、熟す事が出来ない内容でも有った。
これは、
「つまり、ハクちゃんは東から西に抜ける龍脈を作り上げる、と言う事なのね?」
美月の問い掛け。そして、ハクの行動がこれで終わる訳はない。
次は北。そして南。最後は、完全に精気を失ったコミュニティ自体の禍祓いを行うと言う事。
ハクが、美月の問い掛けに軽く首肯いて答える。
そして、
「この里が気枯れて居るのなら、新たな気の流れを作り、枯れた気を補って行けば大地が蘇るはずですから」
……と続けた。
その、非常に心地良い温度のお湯と、耳に心地よいエコーが掛かった声。そして、のんびりとした春の装いの微笑みが彼女の本来の雰囲気を示し、
少女としては妙に艶の有る肩の辺りを軽くマッサージする仕草が、彼女の本来の気質。少し苦労性で、厄介事を背負い込むタイプの人間で有る事を指し示しているかのようで有った。
尚、湯上りの一同に用意されていたのが、フルーツ牛乳なのか、コーヒー牛乳なのかは、定かではない。
☆★☆★☆
そして、翌日。
春の陽光は、何処か気恥ずかしげに地上を照らし、西からの風は、相変わらず砂と、そして渇きをコミュニティにもたらしていた。
「ホンマに西の街道に向かうのか?」
美月の足元から、やや不安げな視線を持ち上げながら、その無謀な行動を思い止まらせようとするかの様な声音で尋ねて来る白く小さな生命体。
その声音と、ほぼ同じ心情の美月も少し不安げな瞳でハクを見つめる。
そう。確かに、ハクの言い分は間違いではない。それは、何時か為さねばならない事。
しかし、そうかと言って、昨日の今日で急いで為さねばならない事は有りません。
時期を見て、一同が力を付けてからでも遅くはないと美月と、そして、タマは考えて居たのですが……。
しかし、
「昨夜の月読様の光輝から、今日の道行きには新たな出会いが有るようです。
この出会いは吉祥。私達の行いの手助けをして貰えるはずです」
涼し
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