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私は何処から来て、何処に向かうのでしょうか?
第3話 湯上りのフルーツ牛乳は基本だそうですよ?
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物で有った。
 そして、更に続けて、

「私の判断力は、私の能力を超える事は出来ません。そのような未完成な私が、白娘子さんの意志を完全に支配するような事を行うと、もし、私の判断に誤りが有った場合に、誰にも私の間違いを正して貰う事や、行いを止めて貰う事が出来なくなります。流石に、それは問題が有りますからね」

 ……と言ったのだった。

 確かに彼女。ハクの言葉の筋は通っています。但し、それが正しいかどうかは微妙。
 何故ならば、この真名を支配する契約はハクの生命が尽きるまで続く契約。つまり、相手の信頼度が低い場合、契約者がワザと危険な状況に陥れられる可能性も高く成ります。
 真名を支配される側から考えると、早く、契約相手(支配者)が死亡してくれた方が、己が解放される時も早まりますから。

 要は、相手が信用出来るかどうかがすべてだと言う事。

「判りました。ならば、ハクさまと御呼びしましょう」

 表面上は判りませんが、少なくともハクの生命を狙って居るような雰囲気を発する事などなく、あっさりとそう答える白娘子。
 しかし、更に続けて、

「それで、ハクさま。この精気を失った土地をどうなさる御心算なのです?」

 先ほどから問い掛けて来ていた内容を、三度問い掛けて来る白娘子。
 ただ、その部分に関する美月の答えは決まっています。そう急ぐ必要は有りませんから。ハクの能力を借りられたら、コミュニティのメンバーをゆっくりと力を付けて行く事は可能だし、自分やタマが更に能力を付けて来たら、その時に――――。

「明日は、西の街道に向かいます」

 しかし、美月の思いを他所に、ハクは両手両足を湯船にゆっくりと伸ばしながら、そう言った。
 非常に、剣呑極まりない台詞を……。

「ちょ、ちょっと、ハクちゃん?」

 思わずお風呂のお湯を呑み込み掛けた美月が、少しむせながらも、ハクに対してそう話し掛けた。かなり、慌てた雰囲気で。
 そうして、

「西の街道は危険よ。元々、西の街道から吹き付ける風が原因で、村の土地が精気を失ったのよ。まして、タマが言うには、この村に潜り込んで来ている根津魅(ねずみ)は、そっちから来ている、みたいな事を言っていたし……」

 ……と、かなり不安げな雰囲気でそう話した。

 そう、(ねずみ)ではなく根津魅。それは、まつろわぬモノの穢れや澱みなどが凝り固まって出来上がった不浄なる存在。
 ただし、これは小物。

 しかし、現実世界にそんな物が簡単に現れる訳もなく、まして、西から吹いて来るのは死の風。この死の風の性で、このコミュニティの地が砂に埋もれ、コミュニティ自体の活力が奪われたのは間違いない。
 そう考えるならば、西の方角には何か危険な物が待ち受けているのは確
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