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私は何処から来て、何処に向かうのでしょうか?
第3話 湯上りのフルーツ牛乳は基本だそうですよ?
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故に、彼女がこれ以上成長すると言う事は有り得ないので……。

 その点だけで言うのなら、彼女(白娘子)よりは、未だ有るかどうか判らないながらも、少しばかり未来に期待が持てる分だけ、美月やハクの方がマシだと言う事でしょう。

 そんな白娘子の問い掛けに対して、
 東洋人の少女の象徴で有る象牙色の肌と、烏の濡れ羽色の長い髪の毛を持つ少女が、それまで存在していた洗い場の方から湯船の方に移動しながら、

「すみませんが、白娘子さん」

 ……と、そう話し掛けて来る。
 尚、その彼女が発して居る雰囲気も弛緩した物で、このお風呂場と言う場所に相応しい物で有った。
 いや、彼女の場合は、普通に会話を交わして居る際も常に穏やかで有り、周りにほのかな甘い香り……衣服や髪に焚き込められた香の香りと、長閑な微笑みを魅せていたのですが。

 但し、その翳りのない肌に似つかわしくない痣。両手首、両足首。そして、左の脇腹に浮かび上がる紫色の痣が、何か言い様のない不安感のような物を覚えさせていた。
 そう。彼女、ハクの紅い左目に真っ直ぐに見つめられた時と同じような感覚を、その紫色の痣は与える物で有ったのだ。

「はい。何でしょうか、我が主よ」

 長い髪の毛をタオルで頭に纏め上げた後、湯船に浸かろうとする少女(ハク)の正面を開けながら、それでも、さり気なく彼女の足元に気を配る白娘子。
 この辺りは、蛇の精とは言っても白。つまり、義を司る色を持つ神性と言うトコロなのでしょう。

 そして、

「私の事は、素直にハクと呼んで頂けないでしょうか?」

 そんなに不満が有る、と言う雰囲気ではないのですが、それでも、珍しくハクの方からそう命令……などではなく、依頼を行う。

「それは、命令でしょうか?」

 少し、不思議そうな表情で問い掛けて来る白娘子。それに、確かにこのハクと言う少女の、自らが真名を支配する存在に対して依頼を行うと言う方法は、少し違和感が有るのも事実。
 本来、真名を支配されると言う事は、相手に己のすべてを支配されるに等しい事。つまり、今現在、ハクは白娘子の真名を支配している以上、彼女は、白娘子のすべてを支配しているので、素直に命令を下したら済むだけの話です。
 まして、ギフトゲームの時の最初に白娘子が言ったように、死した後の魂でさえも、真名を知って居たのなら支配し続ける事が可能な以上、この支配体系はハクが死亡する瞬間まで続くと言う事なのですが。

 しかし、

「私は、命令は行いません。まして、反論を許さないような。……真名で縛るような支配も行う事は有りませんよ」

 ……と、ハクは答えた。
 口調は、この世界に顕われた時から変わらない長閑な春の陽光そのもの。しかし、その内容は、彼女にしては少し強い
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