第3話 湯上りのフルーツ牛乳は基本だそうですよ?
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このコミュニティの復活を計る。……と言う、かなり自分勝手な行動に及んだのですから。
確かに、この世界の特性上、ここでの経験や知識は帰ってからでも残るはずですが、向こう側の世界での後の生活に不都合は生じないはずなのですが……。
例えこの世界で、その召喚された人物が死亡したとしても、問題はないはずでしたから。
もっとも、先ほどのハクのように、己の真名を賭けてギフトゲームを挑み、その結果敗れた場合は、その範疇には収まらない事が今の美月には判った……、と言うか、知らされたのですが。
「その事については、この場では無く、館の中に移動してから御話しましょうか」
しかし、周囲を一周分、見回した後、長閑な表情を浮かべたままのハクが、微かに小首を傾げて見せてからそう言った。
その仕草に釣られて、周囲を一周見渡してみる美月。其処には――――
水を汲む為に桶を片手に近寄って来た子供たちが、その場に立ったまま、不安げに美月たちの次の行動を見つめていたのでしたから。
☆★☆★☆
本当の意味でささやかな夕食が終わり、
石造りの床に、天井から落ちて来た水滴が耳に心地良い響きを伝えて来た。
西洋人とも、東洋人とも付かないその白磁の肌をやや桜色に上気させ、ゆっくりと、両手両足を伸ばした状態で湯船に浸かりながら、
「やっぱり、命の洗濯と言ったら、お風呂よねぇ」
金の髪の毛に碧の瞳の割には、スタイルに関しては東洋人のそれに等しい美月が、しみじみとした雰囲気でそう言った。
その声が狭い空間内で反射して、妙にエコーの掛かった状態で自らの耳に届く。
平和な。本当に平和なお風呂の時間の風景。
これも、ハクが白娘子とのギフトゲームに勝利し、水が豊富に使えるようになったが故の出来事。コミュニティの小さな一員たちが、長い距離を、重い荷を運ぶ仕事から解放させてやる事が出来ただけでも、彼女を召喚した事は成功だったと言うべきだと、やや胸のした辺りまで湯船に浸かった状態の美月は、のんびりと考えていた。
そう。後はゆっくりと小さなギフトゲームを挑みながら力を付けて、少しずつコミュニティ全体のレベルを上げて行けば、五年後、十年後には間違いなくこのコミュニティは昔の賑わいを取り戻している。
「主よ。先ほどの問いの答えを返して貰っては居りませんぞ」
しかし、そんなのんびりとした美月の、非常に太平楽な考えに対して冷や水を浴びせ掛ける一言。
何故か、この大浴場の中にまで着いて来て、その肌理の細かな白い肌を惜しげもなく晒している白娘子が、ハクに対してそう問い掛けて来たのだ。
尚、彼女は蛇の精。故に、スレンダーな肢体では有ったのですが、その胸に関しては……。まして、神性を持つ存在で有るが
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