第3話 湯上りのフルーツ牛乳は基本だそうですよ?
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全ての神事が終わりを告げられた。
一瞬の静寂。
二人の巫女と、そして、かつて水を注いでいた、女神を象った彫刻が抱える水がめの口の部分を、やや緊張した面持ちで見つめるギャラリーと成った子供たち。
そう。その中には、先ほど水汲みの仕事に従事していた子供たちの姿も見えた。
そして、その瞬間。
大きな歓声に包まれる、かつての水源の泉。
そう。かつて、汲めども汲めども、尽きる事のないほどの水を注いでいた女神の水がめから、再び、水があふれ出したのだ。
そう。正に開く手。祝詞の最後に打ち鳴らされた拍手によって、新たに造り上げられた地下水脈と、この水場の中心に存在する水の女神像との間が繋げられ、この廃墟の村の水源が新たに開かれた瞬間だったのですから。
「これで、宜しいのか。我が主よ」
何時の間に顕われたのか、傍に立って居た白娘子が、そうハクに対して問い掛けて来る。
これは、彼女。白娘子に因って途切れて仕舞っていた地下水脈が大河と繋ぎ合わせられ、水源を開く祝詞により言祝がれる事に因って、この水源が、新たに人間が利用可能な水場と成ったと言う事。
これは、巫女や神職の本来の有り方。自然と人間との絆を結ぶ仲立ちを行う。……と言う有り方に沿った行為だったと言う事です。
「はい。有り難う御座います、白娘子さん」
先ほどまで、真剣な表情で祝詞を唱えていた少女とはまったく違う、長閑な雰囲気でそう答えるハク。矢張り、彼女は巫女。普段は、おっとりとした雰囲気を発する少女ですが、いざ、神に働き掛ける時には、それに相応しい清にして烈なる雰囲気に身を包む事が可能と成ると言う事なのでしょう。
「しかし、主よ。この地は完全に大地が精気を失った地。ここに、いくら水を引いたとしても、大地を完全に復活させる事は叶わぬと思うのですが」
そう問い掛けて来る白娘子。尚、その姿は、水がめを抱えた女神の像と微かに似ているような気もする。もしかすると、かつて、この地に存在した誰かが彼女を……白娘子をモデルにして、この女神の像を作り上げたのかも知れない。
そう思わせるに十分な雰囲気を、白娘子と言う名前の河の精は感じさせていた。
そして、確かに、その白娘子の言葉は事実。これで、水汲みに掛かる手間は少なく成ったのですが、大地の状態が変わった訳では有りません。この砂漠と化した大地では、多少の水の恵みなど何の役にも立たないでしょう。
しかし、美月としては、自らの両親や、それ以前に、この地を切り開いて人が暮らせる町を作り上げた先人たちの思いを無にする事は出来ませんでした。
故に、多少の問題。相手の了承を得た上での行為とは言え、異世界から見ず知らずの人間を召喚して、その人間を助っ人として
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