第3話 湯上りのフルーツ牛乳は基本だそうですよ?
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。
それに、確かにハクの言う事は、魔術的な意味で言うのなら正しい事です。真名をウカツに口にしていては、ある程度の能力を持つ存在にあっさりと真名を支配され、その人物や存在は永久に……。そう、魂さえも永久に支配される事に成るのですから。
ただ、
「そうじゃなくて、ハクちゃんが、どうやってさっきの魅了の術を打ち破ったのか。そっちの方が、少し気に成ったって言うか……」
確かに、その【心の声】と言う能力にも興味は有りますが、それよりも、ハクの能力を知る上で、重要なヒントと成る質問を行う美月。
実際、あの祝詞は禍祓いの祝詞では有ったけど、あの祝詞に直接、魅了を防ぐ効果が有るかと言うと、美月の知識内では、それは微妙。
可能性としては、あの水汲み場の先に進むまでに唱えていた祝詞か、あの不思議な雰囲気を作り出していた歩行法のどちらかの方に魅了を防ぐ効果が有ったと考える方がしっくり来るのですが……。
但し、美月の知識では、あの祝詞は土地神召喚用の祝詞。だとすると……。
「白娘子さんの呪を防いだのは禹歩。この歩法を正確に行えば、古来より鬼神や猛獣、蜂、サソリ。そして、蛇の害から身を護ると言われています」
そんな美月の問い掛けに、いともあっさりと、自分の手札を晒すハク。
禹。夏王朝の創始者。そして、黄河の治水に当たった人物として伝説に名を残す王。
いや、禹と言う存在の起源は、黄河に棲む水神だったと言う説も有ります。
その王の歩行法を完全に再現出来、更に、古来よりの伝承を知る人間が、蛇の精の能力を封じたとしても不思議では有りませんか。
但し……。
「それなら、ハクちゃんは、最初から白娘子さんの正体が蛇の精だと言う事が判っていたと言うの?」
引き続きの美月の問い掛け。確かに、河の主なら蛇の精の可能性は高いでしょう。しかし、当然、龍や魚。中には震や虹などの可能性も有ったとは思うのですが……。
そんな、疑問符に彩られた表情を浮かべる美月に対して、
「志那都比古神と闇御津羽神が教えてくれましたから」
またもや、あっさりと答えを返すハク。
尚、志那津比古神とは日本の風を支配する神。そして、闇御津羽神とは水を支配する神。西洋風に言うのなら、彼女は風の精霊シルフと、水の精霊ウィンディーネと言葉を交わした、と言う事に成ります。
つまり、美月がこの河に到着した時にハクから最初に感じた、河を渡る風と語り、波の奏でる音を耳にしていたような幻想的な雰囲気は、正にその時、風の呟きを聞き取り、水に教えを乞うていたと言う事だったのでしょう。
もっとも、つまり、それは……。
「ハクちゃんは、
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