第3話 湯上りのフルーツ牛乳は基本だそうですよ?
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「我が名は白娘子。妾の真名は――――」
ギフトゲームに敗れた白い女性……白娘子と名乗った川の主らしき女性が、其処まで口にした後、何故か急に言葉を紡ぐのを止めた。
そして、一瞬の空白。何処か、遠くから、雲雀の鳴く声さえ聞こえて来るような長閑な春の午後。
そう。先ほどまで、双方の真名を賭けた真剣勝負が行われたとは思えない、平和な日常の風景。
しかし、
「はい、貴女の真名。確かに承りました」
しかし、何故かハクは彼女に相応しい表情を見せた後、白娘子に対してそう答えた。これは、どのような方法なのか定かでは有りませんが、ハクと白娘子との間に普通の人間には判らない情報の交換が行われて、白娘子の真名がハクに伝えられたと言う事なのでしょう。
その答えを受けて、白娘子がゆっくりと首肯く。そして、
「成るほど。そなた……我が主は矢張り、龍の気を纏って居ると言う事か」
……と、まるで独り言のように呟いた。
但し、その雰囲気は、最初に顕われた時の不機嫌で尊大な彼女の物ではなく、了解。自らが何故ゲームに敗れたのか、と言う事が納得出来たと言う雰囲気。
ただ、龍の気を纏う存在と言う言葉は……。
確かに、最初に美月が召喚しようとしたのは、間違いなく龍神の神気を纏う存在。確実にそのような存在が居るとは限らなかったのですが、それでも、ハクを召喚しようとした際に唱えた祝詞は、龍神を召喚する際に使用される物で有ったのも間違い有りません。
しかし……。
そう考えながら美月は、改めて自らが召喚した少女――ハクと名乗った少女を見つめてみる。
確かに、召喚した直後から、色々と人間と言う規格からは外れた能力を示して来た彼女では有りましたが、それがイコール龍神の能力と言えるかと言うと、微妙な雰囲気で有ったと言った方が良い。
おそらく、何らかの神性は宿しているのは確実なのですが、どうやら攻撃的な能力と言うよりも、補助的な能力を有した神性と考えた方が良いのでは……。
禊の空間の構築術や、魂振りの法。それに、先ほど白娘子との間で行われたギフトゲームに関しても、彼女自身が能動的な能力を行使した、と言う雰囲気では有りませんでしたから。
不意に見つめ出した美月を、少し小首を傾げながら不思議そうに見つめ返すハク。ただ、直ぐに少し首肯いた後に、軽く微笑みを返した。
そして、
「流石に、美月さんが居る場所で、白娘子さんの真名を口にして貰う訳には行かなかったので、【心の声】で、白娘子さんの真名を伝えて貰ったのです」
……と、先ほどの奇妙な空白の後、白娘子の真名を教えられた、と告げた理由をあっさりと答える
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