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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第三十六話 聖戦の激闘
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手どころか先手を打ったうえでの最速の一撃。ラインハルトはカウンターを予測した上で、さらに念を押したのだ。蓮にとっては信じがたいことだが、今のラインハルトは蓮よりも速い。彼のとって最大のアドバンテージともいえた速さを上回られる。これは確実に脅威としか言えなかった。
だが、それでも引き下がるわけにはいかない。時間の取り合いでこちらが負けるわけにはいかないのだ。全身全霊で祈り、吼える。
「止まれェェェッ!!」
時間を止めることにより戦友の拳も消える。だが、彼の拳は無意味だったわけではない。彼の正面に塞がっていた髑髏の群れの一部を消し飛ばし、道を切り開いた。後は互いの武器が届くか否か。それのみに総てが委ねられる。蓮はギロチンを、ラインハルトは聖槍を切り結び、互いにぶつけ合った。その結果は――――――
「づあァッ―――」
「ぐうゥッ―――」
相打ち―――蓮は脇腹を削られ、ラインハルトは肩口を裂かれる。そのまま距離を取るかと思った。だが、
「何―――――!?」
ラインハルトは寧ろ距離を詰める。どころか肩口の傷は再生を果たし、すでに次の撃ち手を構えている。再生の原因はシュライバーの創造だ。蓮には理解できないが彼の祈りは受けた傷を触れた事実を認めないために瞬時に甦生させる。
「ふふ、ふははははは……」
ここまで戦っておいて、互いに傷を負ったのは初めてだ。血の匂いが、肉を切り裂いた感触が彼を高ぶらせるのだろう。蓮には笑える理屈がわからない。そんなこんな気持ち悪い感触をまるで至上の喜びであるかのように感じられることが理解できない。
「第十二―――
SS装甲師団
(
ヒトラーユーゲント
)
」
次々と放たれる弾幕。両腕を交差させ防御せざる得なくなる。そして続けて斬り放たれる斬撃。傷を庇いながらも距離をとって躱しきる。
「なに、すぐに病み付きになる。私をしてもうなった。己の血が熱い。ああ、私は今―――――生きている!!」
「何がッ―――」
続く連撃を全力で弾き返し、バネのように上体を起こし、渾身の力で切り込む。
「可笑しいんだよッ!!」
「無論、総てが―――色鮮やかに輝いている!!」
今度はラインハルトが弾き返し、切り結ぶ。また仰け反り、また戻る。
ただ一発一発互いに全力を込め打ち合っている。その繰り返し。何も考えずただ殴り合っているのと同じだ。だが、それは戦いの陳腐さを表しているわけではない。今とて互いに試行錯誤が目に見える。
ラインハルトに向かって食人影が襲い掛かる。銃弾が駆逐せんとする。ある一撃が消失を起こす。炎が燃え上がり、腐蝕が起こり、雷が迸る。
蓮に向かっても同様だ。燃え上がる爆炎、放たれる杭、絡め捕ろうとする糸、影の粒子、最速の連撃と死の再生。
今、世界はまさに鬩ぎ
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