第一部
第二章 〜幽州戦記〜
二十一 〜覇王、見参〜
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!』って叫ぶらしいぜ?」
「萌え……? 何だ、それは?」
稟と風に視線を遣るが、二人も頭を振るばかり。
愛紗とねねは考え込んでいて、霞と疾風は首を傾げている。
恋は……わかる筈もないな。
「ただ、わかってるのはそうなった連中は、死にもの狂いで戦った、って話だ。だから、生き残った奴もあまりいねぇって訳なんだが」
「それほどまでに熱狂させる何かがあった……それだけは確か、という事ですね」
「むむむ。その萌えとやらが何なのかがわからないと、理由はさっぱりなのです」
「むー。この風に何の情報も入ってこないなど、あってはならないのですが」
軍師三人、熟考状態になってしまったようだ。
「……誰か、来る」
恋が、遠くを見据えて言う。
疾風が、私の双眼鏡を覗き込んで、
「確かに、伝令らしき兵が向かってきますね」
「伝令か。曹操か、冀州刺史の韓馥か。わかるか?」
「……いえ。流石にこの距離では」
「人数は?」
「二人です。将ではなく、兵ですね」
「よし。一応、警戒は怠るな。愛紗、もしいずこかの使者であれば、口上を確かめて参れ」
「はっ!」
使者は、曹操より遣わされた者だった。
「軍議を開くので、我が陣まで来られたし、か」
「はい。曹操軍はこの先、二十里程に陣を構えているそうです」
「わかった」
まずは、訪ねるより他あるまい。
問題は人選だが……流石に軍議に全員を引き連れて、とは参らぬ。
それに、陣にも将を残していく必要がある。
「霞は決まりだな。形式上、并州軍の指揮官はお前だからな」
「せやな。恋でもええけど、それやったら話し合いにならへんしな」
「うむ。愛紗も、幽州軍指揮官だ、同行せよ」
「ははっ」
「後は稟、一緒に参れ。他の者はこのまま陣に残り、周囲の警戒に当たれ」
「歳三殿。警護はよろしいのですか?」
「軍議に赴くだけで、大仰な真似をする事もあるまい。それに、愛紗や霞も一緒だ」
「疾風。歳っちの腕前、わかっとるやろ?」
「そうだぞ。私も、ご主人様に打ち負かされたのだからな」
「……大丈夫。歳三は、強い」
あまり過剰な期待をされても困るのだが。
少なくとも己の身ぐらい、何とかなるだろう。
……そもそも、曹操がそのような姑息な手を使うとは思えぬがな。
「それよりも、黄巾党の動きから目を離すな。何かあれば、直ちに知らせよ」
「畏まりました」
さて、いよいよ対面か。
不思議と、恐れはない。
むしろ、歴史に名を残す大英傑との出会いを、楽しんでいる自分に気づいた。
程なく、曹操の牙門旗が見えてきた。
不意に、三人が立ち止まる。
「どうかしたか?」
「……歳っち。ホンマに、ええん
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