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少女1人>リリカルマジカル
第二十七話 少年期I
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とけないと思って追いかけてしまっただけなのだから。

『エイカさんを気絶させた時は、転移を使って警官に引き渡すのかと思いましたよ』
「それは…さすがに事故だったし。話し合いで解決できるのが1番だろ」
『それはそうですけど。でももしあの時、ナイフを本当に取り出していたら問答無用でバインドかましていましたけどね。ますたーが念話で止めなかったら、頭をぶつける前にシールドで弾いていましたよ』
「……結構過保護だったんだな、コーラルって」

 そうは言うが、アルヴィンもそのあたりはコーラルを頼りにしていた。気絶させたエイカの持ち物を調べ、ナイフが出てきたときは息を呑んだのだから。

 話し合いに必要なのは、相手に警戒されないようにすること。なのであえてそれは取り上げなかったが、代わりに首にかけられていたペンダントをポケットにいれ、防御魔法などの準備だけは念入りにしておいた。魔法を使う必要がないのが1番ではあったが。

『でも、やっぱり無謀です。結果的にエイカさんがあまり悪い子でなかったからできた方法でしたよ』
「確かにな。意外に律儀だし、人の話もちゃんと聞けるし、ツッコミだったし」
『ますたー、真剣に聞いてください』
「……ごめんなさい。でも、エイカがいいやつだろうなって最初に思ったから、ちゃんと話そうと俺も思ったんだぞ」

 アルヴィンの言葉にコーラルは口を閉ざす。そこにあるのは疑問や戸惑い。コーラルの雰囲気にアルヴィンは吹き出し、確信があったわけではなかったけどね、と付け足す。もちろんエイカとは初対面だ。彼の持つ知識の方でも知らない子ども。

 だがエイカが言った、ただ一言。エイカ自身は意識して言ったわけではない言葉。だがそれを聞いて、アルヴィン自身は相手への警戒心を解いたのだ。

『てめぇみたいなやつがなんでここにいるのかは知らねぇが、こんな所2度と来ない方がいいぞ』

 告げられた文言はものすごくぶっきらぼうで、口調もきついものだった。謝罪の言葉を遮って、矢継ぎ早に言われたもの。それでもこれは、他の誰でもなくアルヴィンに向けられた忠告の言葉だった。

 地上部隊と関わりを持っていたアルヴィンは、ミッドの治安についてある程度聞きかじっていた。それは地上部隊のお膝元である、ミッドチルダにある闇。民間人が多く住まう居住区などの表側は、総司令官達も全力で維持に当たっている。だがその裏側を掌握するのは、まだ人員的にも現在の情勢的にも厳しい状態だった。

 だからアルヴィンは、総司令官から裏道や人通りから離れたところには行かないようにと注意を受けていた。それは管理局の目が届かない場所であり、危険があった場合助けることができないかもしれないからだ。今回のことがなければ、絶対に彼は近寄りもしなかったような所だったのだ。


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