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少女1人>リリカルマジカル
第二十七話 少年期I
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を流すがいいッ!」
「よし、友達になろうか!」

 ――――あ。



 その後、俺たちは公園を抜け、持っていた財布を落とし物として届けることになった。警官に財布を手渡す時、少し惜しい気持ちも俺の中にはあった。しかし思いのほかあっさりと渡すことができた自分の手。思わずまじまじと見つめてしまった。

 そんな俺の隣で、謝礼金ってどれぐらいもらえるのかな、とにやにやしながら言ってきたあいつ。拾ったのは俺だから一銭もお前にはやらないけどな、と告げたら膝かっくんされた。お返しにやり返そうとしたら避ける。本当にちょこまかと!

「それじゃあ、これが約束の例のものだ。慎重に扱いたまえよ。取り扱いをしくじれば火傷をしてしまうのでな」
「なんのキャラだ。猫舌じゃないんだからそんなへま、俺がするか」
「はは。じゃあな、エイカ。――また遊ぼうな」
『それではお元気で』
「……おぉ」

 今度こそあいつらは、俺に背を向けて歩いていった。途中後ろを振り返ってぶんぶん手を振ってくるあいつに溜息を吐きながら、俺も小さく手を振りかえした。

 人ごみに紛れ、姿が見えなくなったことでやっと1人になったのだと実感する。今日の収穫は晩飯だけで、結果としては微々たるもの。俺は昨日までと同じように、雑踏の音だけが響く道を歩いていった。

 いつもと同じ景色なのに、昨日と今日とではどこか違うような――そんな気がした。



******



『本当にあれでよかったのですか』

 先ほどまで一緒にいた人物が人ごみに消え、コーラルは自分のマスターに尋ねる。その調子は咎めているわけではないが、疑問が窺えた。

 コーラル自身、まさかこのような結果になるとは思っていなかった。だがマスターの考えを尊重し、それを後押しするように動いたのはまぎれもなく自分自身の意思。だから主の新たな友人に意見を出すつもりもなかった。

「正直わからないけど、後悔はしていないかな。結構勢いでやっちゃった部分もあるけど、友達もできたし、財布も返せたから結果オーライでいいと思うけど」
『ますたーってちゃんと考えているのか、ただのパーなのか時々わからなくなりますよ』
「パーってお前……」

 相変わらずのデバイスからの遠慮容赦のなさに、アルヴィンは半眼でちょっと睨んでみる。だけど効果はなさそうだったので、すぐにやめたが。なんだかやりきれない気持ちを、頭を軽く掻くことでアルヴィンは抑えた。そして、もう姿の見えない新しい友人の去った先を静かに見つめていた。

 アルヴィンは最初から、エイカがぶつかったときに仕出かしたことを見てしまっていた。そして追いかけたはいいものの、その子どもをどうしたいのか具体的に考えていなかったのだ。エイカに最初に告げた通り、ただほっ
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