第二十七話 少年期I
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じゃないはずだ。
この年で戦闘経験があるって、こいつ今までどんな生活をしてきたんだよ。もしかしてこいつの親は武装隊か何かか。何にしてもやっぱり普通のガキじゃないのは確かだ。俺の中で消えていたこいつへの不信感が膨れ上がっていった。
「お前――」
「隙あり!」
「えっ、っておい!!」
拳を浴びせるために近づいていたため、こいつとの距離はほとんどなかった。動きを止めていた俺の手を掴み、広場の方へと一直線に駆け出した。いきなり現れた俺たちに周りの視線が集まる。縺れそうな足を走らせ、転ばないようについていくしか俺にはできなかった。
そして駆けていた足がようやく止まり、気が付けば広場の真ん中に俺たちは立っていた。たくさんの人から注目を浴びていることに俺はびくり、と肩が震える。不思議そうに俺たちを見つめてくるガキどもに冷や汗が流れた。
そんな中で、俺とつないでいる方の手を堂々と上に掲げ出すあいつ。それはまるで周りに見せつけるかのように。少し小高い場所であったこともあり、全方面から視線を感じた。
俺は恐る恐る隣を窺ってみる。するとそこには清々しいまでに笑みを浮かべながら、次に大きく息を吸い込むやつの姿があった。このわけのわからない理不尽さ、あぁデジャヴ。そうだよ。こいつが何者であれ、1つだけ確実にわかっていたことが俺にはあったじゃないか。
こいつは、間違いなくアホなんだって。
「俺たちとおにごっこしたい人はこの手にとまれェェーー!!」
俺は召喚魔法というものを初めて見た。
******
「いやぁ、エイカ足速いねー。すごく盛り上がった」
『おもしろ映像てんこ盛りでしたねー』
「うるさい。アホ、バカ、変人共」
広場から少し離れた場所で俺はベンチに座っていた。もうなんか俺の中にあった色々なものが、木っ端みじんにされた気がする。世界ってなんなのだろう。たぶん今の俺の目は確実に死んでいる。
あの後、結局召喚されたやつらと遊ぶことになってしまった。……あの状態で逃げ出す気力はもう俺にはなかった。
ゲームは『ふえおに』という、徐々に鬼が増えていくものらしい。最初は俺が逃げる側で、あいつは鬼。正直さっさと捕まってもよかったが、とろくさいガキに捕まるのも癪だったので逃げていた。おせぇやつら、と鼻で笑っていられたのだ……前半戦は。
「諸君! あそこで余裕ぶっこいているのやっちまうぞ!! えーと、名前わかんないからそこにいる少年A、B」
「何その伏字みたいなのは!?」
「少年Bよ、細かいことは気にしない。君らは左から攻め込むんだ!」
「らじゃー」
「え、少年Aでいいの、君!?」
「そこの足が速かった少女Dと少年Cは時間差で側面から回り込め! 俺と
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