第二十七話 少年期I
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だり、追いかけっこをしていた。笑顔で遊び回る子どもと、それを近くで眺めて微笑む母親らしき人達。
――馬鹿馬鹿しい、と俺はそいつらを見ていておもしろくない感情が芽生える。そんな彼らの様子を眺めながら、俺は無意識のうちに舌打ちをしていた。
「どうしたの、エイカ」
「なんでもない」
俺の舌打ちが聞こえてしまったのか、覗き込むように俺の顔を見てくる。失敗したな、と俺は目を逸らした。それでもじっと俺を見てくるこいつに背を向け、身体を反転させて元の並木道に向かうようにする。
「そっちはただの広場だ。その先にはもう道はないから案内する必要がない」
「ねぇ、エイカ」
「この並木道を抜けたら案内は終わりだろ。約束通り飯は渡してもら――」
「せっかく公園に来たんだから遊ばない?」
「…………お前、空気よめ」
なぁ、さっきの俺の舌打ち聞こえたよな。それを説明する気は一切なかったが、そんなの関係ねェ、と言わんばかりのセリフに俺はびっくりだよ。本当に呆れてものが言えない状態の俺の肩に、こいつは優しく手を置き、ぽんぽんと叩いてきた。
「エイカ。子どもに大切なのはよく食べて、よく寝て、よく遊ぶことだって、昔誰かが言っていたんだ。嘘ではないはずだから、遊ぶことは何も怖がることではない」
「今までの会話のどこに、その知恵袋的要素を語るところがあった」
「ぼっちだからって気にしちゃダメだよ。手が速いし、口悪いし、流されやすいし、いじりやすいけど大丈夫。今はぼっちでも、ほんの少しのきっかけで変われるものがあるって信じようよ。さぁ、勇気を出して遊ぼう」
全力で拳を打ち込んでしまった俺は絶対に悪くない。なんかどさくさに紛れてものすごく失礼なことも言われた気がする。
というかどういう解釈をしたら、俺がぼっちだからここのガキ共の遊んでいる姿を見て羨ましく思い、思わず舌打ちをしちゃいました! …という想像ができるんだ。なによりぼっち連呼するな。
ただ俺にとって予想外だったのは、俺の拳をひょいっと避けられたことだ。ムカッときたので転ばせてやろうと、そのまま勢いを殺さずに足元を狙ってみたが、これも半歩後ろに下がることで綺麗に避けられる。それにまぐれではないことを理解し、驚きに目を見開く。頭にのぼっていた血も静かに冷えていった。
「おぉ、避けれた。リニスさんとの戦闘経験がめっちゃ生かされているんじゃね?」
『いつも懲りずにパンチの嵐を受けていますものねー。以前よりも動きがスムーズでしたよ』
こいつらの会話から、どうやらその『リニス』というやつにこいつは訓練されているらしい。思えば俺と同じ年ぐらいでデバイスを持たされているし、魔導師としての訓練も受けさせられているのだろうか。少なくとも、あの動きは咄嗟にできるもの
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