第二十七話 少年期I
[3/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
オス。
『顔色が悪いようなので補足を。相手を振り回したり、似通った思考回路はありますが、ますたーと妹様はそれほど似ていませんよ』
「そ、そうか。……俺、そんなにも顔に出ていたか」
『いえ。ただますたーの妹と聞くと、大概の方が抱く疑問でしたので』
「あぁ、なるほど」
デバイスの説明に俺は納得した。となりで俺たちの会話にがくり、と肩を落とすやつがいるが視線を合わせないようにする。しかしデバイスの言う『妹様は天然ものですから』という意味に首をかしげる。よくわからないが、自然体ということなのだろうか。
「うん、まぁあと外見も二卵性双生児だからそっくりじゃないしな。髪や目の色も違うし、似ているのは癖っ毛の部分や声とかか? 声に関してはどう反応していいのか今でも悩んでいるけど」
「なんで声に悩むんだよ」
「……今は子どもだからいいんだけど、成長して喉仏できたらどうなるのかなぁって。高いままは嫌だけど、この声がダミ声とかになったら地味にショック受けそうで。いや、男らしい声にはなりたいんだけどね、うん」
いきなり暗くなったよ、こいつ。しかも本気で落ち込んでいるっぽい。感情の起伏がいまいち掴めなくて、どうも声がかけづらい。しかしそこまで気にするほどのことだろうか。俺は声変わりできる方が羨ましいと思うけどな。
「ちなみにエイカさん。率直な意見いい?」
「なんだよ」
「金髪にレオタードと黒マント装備の美少女によく似合う声が、成長しておっさん声になったらどんな感じになりそうかな」
「率直な意見だったな。とりあえず意味の通じるミッド語をしゃべってくれ」
まさにこんな感じでぐだぐだした会話をしながら、俺たちは公園の並木道をさらに真っ直ぐに進んでいった。
******
それからまたしばらく公園をふらふらと一緒に歩いている。その途中で何故かエビとエビフライ論争が勃発してしまったりしたが、おおむね問題はない。整備された道を散策していると、季節の移り変わりにふと気が付く。
思えばこんな風にのんびりと景色をみるのは久しぶりだった。灰色のビルと人ごみばかりをずっと見ていた気がする。赤や黄色に彩られた木々や秋の花々。所々にシオンの花のような淡い紫や青も咲いている。風で巻き上がった葉を眺めながら、肌寒い冷気に少し身を震わせた。
辺りを見学しながら歩いていると、広くひらけた場所に出ることとなった。中央広場と書かれた看板を見つけ、周りは芝生で覆われている。先ほどまでは散歩道のような場所だったので、大人をよく見かけていた。だがこの場所では、子どもばかりが目に入る。どうやら子ども用の遊び場らしい。
同じ背丈ぐらいの子どもが何人もおり、思い思いに過ごしている。端にある砂場で山を作ったり、遊具で遊ん
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ