第五話
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「さ、これで大丈夫だ」
「ありがとうございます。行こう」
俊司達は足早にその場を離れるのであった。
監視ルーム
「……雑魚が。これだから日ごろの訓練を行おうと提案しているというのに……」
男はモニターにうつる無様な兵士達を見ながらそういった。
「さて……ん?」
策を考えようとした男は、ポケットで震える何かを取り出した。どうやら無線が入ったらしい。男はすぐさま通話のボタンを押し、話を始めた。
「はい、こちらクルト」
「クルト大尉か。上条だ」
無線は上条からだった。
「総司令官……」
「……あれは本当なのか?」
「……はい。すでにモニターで確認済みです」
「そうか……」
上条は無線の向こう側で思い悩んでいるようだった。おそらく、彼もあの時盗み聞きをしたのが由莉香だったことに気づいたのだろう。
彼女に聞かれたのは大きな誤算だった。人一倍正義感が強く、何よりどの兵士にくらべても行動力がある。利用するにはもってこいの人材だったが、敵にねがえるとかなりやっかいな存在だった。
当初、クルトは今回の作戦に彼女を連れて行くことに反対していた。由莉香は兵士としては有能だが、彼女を総司令官の娘として見た場合、やっかいな存在になると判断したからだ。だが、上条は彼女の行動力と実力を理由にクルトの提案を拒否した。
そして、現状にいたる。こうなることは予測していたつもりだったが、対策を練る前に行動をおこされてしまった。クルトにとっては大きな誤算だった。
「……しかたない。裏切り者は抹殺しろ」
「はっ」
上条はそれだけを言って無線をきった。
「……総司令官も判断力に欠ける部分が多い。やはり、自身の右腕とも言えた人をやったのは痛手だったか」
そう呟きながら、クルトは部屋をあとにする。
「ここから逃げるには……発見されずらいあそこあたりか」
そういって、クルトは不適な笑みを浮かべていた。
「この先が出口です!」
由莉香はそう言って出口を指差していた。
「よし!もう少しで……!?」
一同がもう少しで助かると思い始めていたとき、さっき流れた警告音とは違った警告音が響き渡った。思わず足を止めてしまう俊司達。
すると、大きな音と地響きが一同を襲い始めていた。
「きゃっ!?」
「くそ! 何が起きて……!?」
俊司は出口を見た瞬間、全身から一気に冷や汗が噴出していた。
出口は鋼鉄のような何かで閉ざされようとしていたのである。
「しまった! みんな!
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