第四話
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
はい……」
足音はもうすぐそこまできていた。俊司はその姿を確認しようと、再び外を見渡す。
そこには見覚えのある少女がいた。
「えっ……由莉香!?」
「俊司君!」
俊司の声に反応した由莉香は、すぐさま彼が収容されている牢屋に駆け寄る。
「おまっ……どうしてここに」
「それはあとで説明する。とにかくここから出よう」
「はあ!? いきなり何言ってんだよ! また理由もなく変なことしようとしてんじゃ……」
「もう小学校の頃のようなことはしないよ。きちんとした理由はあるから!」
由莉香は何本か鍵を指して感覚を確かめると、その中の一本を選び鍵を回す。すると、金属音とともに鍵ははずれ、扉は音をたてて開き始めた。
「これでよし! 早くでて! 皆さんも!」
「あ……ああ」
状況が把握できないまま、俊司達は牢屋からでる。由莉香は、彼らにつけられてある手錠をはずすと、申し訳なさそうな顔をしてしゃべり始めた。
「ごめんなさい……俊司君たちが言ってること……正しかった。間違ってたのは……私だったんだ」
「由莉香……もしかして……」
「お父さんがしゃべってること……偶然聞いちゃったんだ。私達……ひどいことしてたんだね……」
そういって軽く涙を浮かべる由莉香。俊司は少し呆然としていたがすぐさま思考を取り戻すと、由莉香の頭をぽんとたたいた。
「誤らなくてもいい。過ちは誰だって犯すさ」
「……俊司君」
「ありがとな……由莉香」
「……うん」
由莉香はそういってコクリとうなずいた。
「俊司君。彼女信用できるの?」
「はい。由莉香は俺の幼馴染です。俺は……嘘をついてるとは思えません」
「……私もそう思います」
そう言って賛同したのは早苗だった。
「早苗さん……」
「あなたも騙されていただけなんですよね? それに、あの時も私に優しく接してしてくれましたし」
「でも……あの時……」
「あの事は気にしてません。憎しみは……仕方ないでしょうし、それも嘘だったってわかったのでしたら」
「……ありがとう」
「……まあ、何があったかは知らないけど、二人がそう言うなら私も信用するわ」
咲夜がそういうと、藍と橙も相槌をしていた。俊司は小声で「ありがとう」と言うと、由莉香の目にたまっていた涙をすっとふき取った。
「行こう。チャンスは一回だよな」
「うん。でも、その前にほかの人も助けないと……」
と言って由莉香が別の牢屋に向かおうとした瞬間。
「やめとけお嬢ちゃん」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ