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東方守勢録
第四話
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はい……」


足音はもうすぐそこまできていた。俊司はその姿を確認しようと、再び外を見渡す。

そこには見覚えのある少女がいた。



「えっ……由莉香!?」














「俊司君!」


俊司の声に反応した由莉香は、すぐさま彼が収容されている牢屋に駆け寄る。


「おまっ……どうしてここに」

「それはあとで説明する。とにかくここから出よう」

「はあ!? いきなり何言ってんだよ! また理由もなく変なことしようとしてんじゃ……」

「もう小学校の頃のようなことはしないよ。きちんとした理由はあるから!」


由莉香は何本か鍵を指して感覚を確かめると、その中の一本を選び鍵を回す。すると、金属音とともに鍵ははずれ、扉は音をたてて開き始めた。


「これでよし! 早くでて! 皆さんも!」

「あ……ああ」


状況が把握できないまま、俊司達は牢屋からでる。由莉香は、彼らにつけられてある手錠をはずすと、申し訳なさそうな顔をしてしゃべり始めた。


「ごめんなさい……俊司君たちが言ってること……正しかった。間違ってたのは……私だったんだ」

「由莉香……もしかして……」

「お父さんがしゃべってること……偶然聞いちゃったんだ。私達……ひどいことしてたんだね……」


そういって軽く涙を浮かべる由莉香。俊司は少し呆然としていたがすぐさま思考を取り戻すと、由莉香の頭をぽんとたたいた。


「誤らなくてもいい。過ちは誰だって犯すさ」

「……俊司君」

「ありがとな……由莉香」

「……うん」


由莉香はそういってコクリとうなずいた。


「俊司君。彼女信用できるの?」

「はい。由莉香は俺の幼馴染です。俺は……嘘をついてるとは思えません」

「……私もそう思います」


そう言って賛同したのは早苗だった。


「早苗さん……」

「あなたも騙されていただけなんですよね? それに、あの時も私に優しく接してしてくれましたし」

「でも……あの時……」

「あの事は気にしてません。憎しみは……仕方ないでしょうし、それも嘘だったってわかったのでしたら」

「……ありがとう」

「……まあ、何があったかは知らないけど、二人がそう言うなら私も信用するわ」


咲夜がそういうと、藍と橙も相槌をしていた。俊司は小声で「ありがとう」と言うと、由莉香の目にたまっていた涙をすっとふき取った。


「行こう。チャンスは一回だよな」

「うん。でも、その前にほかの人も助けないと……」


と言って由莉香が別の牢屋に向かおうとした瞬間。


「やめとけお嬢ちゃん」



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