第七章 銀の降臨祭
エピローグ 重なりし運命
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自分とそう変わらない歳に見えるのに、時折圧倒されるほどの風格を見せたかと思えば、年相応の可愛らしい面を見せる彼女。
初めて彼女を見付けた時、彼女は眠るよに寄りかかっていた。姿は騎士のような格好だったが、まるで物語のお姫様のようだった。木々のこぼれ日に照らされる彼女は、一枚の壁画のようで、思わず見とれてしまった。彼女は今にも死にそうな程の怪我をしており、我に返って駆け寄るのが、もう少し遅かったら、そして母の形見の指輪がなければ、彼女は助からなかったかもしれなかった。
「そんなに経っていないのに、もうずっと昔に感じるわ」
初めて彼女と出会った時のことを思い出し、少女が目を細める。
「あ……ここって」
凛々しい少女との思い出を回想しながら歩いているうちに、見覚えがある場所に辿り着いたことに気付く。微かに残った記憶を辿っていく内に、大きな木の影が見えた。
「もう―――ちょっと」
目を閉じ一気に生茂る茂みを抜け出ると、
「見付けっ――――え?」
そこには探していた記憶通りの大きな木の姿と、
「ひ、人?」
その根元に倒れる男の姿があった。
「し、死んでいる、の?」
茂みから抜け出た位置からじっと男を見つめていた少女だったが、男がピクリとも動かないことに気付き、恐る恐ると近付いていく。
「き、騎士?」
近づくにつれ、男の姿の詳細が見えてくる。
白い髪は血と泥で汚れ斑に汚れ。
黒い肌も、固まった血と泥がこべりついている。
身に纏う甲冑と赤い外套は、男が行った戦闘の激しさを物語るようにボロボロであった。
手を伸ばせば身体に触れられる距離で少女は立ち止まる。
足を曲げ、少女は木に寄りかかるように倒れる男の顔に、自分の顔の高さを合わせる。
「え、えっと……い、生きてますかぁ〜?」
小さく小声で少女が男に問いかけた瞬間。
「ティファニアッ! どこですかっ!!」
「きゃっ!?」
背後の茂みから大きな声が聞こえ、びょんと身体を飛び上がらせる。
聞き覚えのある声に、慌てたように背後を振り返るが、そこに声の主の姿はない。どうやらまだ遠くにいるようだ。それでもこの声量。「あ、あはは」と苦笑いを浮かべる少女が、声の主に向かって呼びかける。
「ここですっ!! 早く来てくださいっ! 人が倒れていますっ!!」
「ッ! 分かりましたっ! ティファニア! 今すぐ行きますので伏せていてくださいっ!」
「え? 伏せる?」
ビリビリと身体が震える程の声量に身体をすくませながら、なぜ伏せる必要があるのだろうと首を傾げながらも、少女は言われた通り素直に地面に伏せる。
「っ?! きゃあっ!!?」
地面に伏せた瞬間。
嵐
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