第七章 銀の降臨祭
エピローグ 重なりし運命
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目が覚めた時、視界に映るものは、白い雲、青い空……それが流れていく光景だった。
吹き付ける風が、頬を、髪をなぶる。
身体が微かに揺れている。
ギシリギシリと木が軋む音が、バタバタと帆がはためく音が聞こえる。
「ここ……は……?」
ポツリと溢れた声は、微かに掠れていた。
「ここはレドウタブール号の甲板の上だよ」
「……ギーシュ?」
「ぼくもいるぞ」
ルイズの声に応えたのは、ルイズの顔を覗き込むようにしていたギーシュだった。その隣には、同じように覗き込んでくるマルコルヌの姿もある。ルイズはレドウタブール号の甲板の上で、仰向けに寝転がっていた状態だった。ルイズは、未だはっきりとしない頭を振りながら、ゆっくりと身体を起こす。
「わたし……えっと……どうして……」
「さあ? ぼくたちが見付けた時には、君はここに寝かされていたけど」
上半身だけ起き上がらせた格好のまま、周りを確かめるように顔を巡らしたルイズは、周りの景色が動いているのに気付くと、確かめるように呟く。
「フ……ネの……うえ」
「さっきからそう言ってるじゃないか」
暫らく呆けたようにゆっくりと後ろへと向かう空を眺めていたルイズだが、ギーシュの言葉を理解した瞬間、弾けるように立ち上がった。
「なっ何でッ!? 何でわたしがここにいるのよッ!!?」
「な、何でって?」
「そ、そんなこと言われても」
突然跳ね起き、悲鳴じみた疑問の声を上げるルイズに、覗き込むようにしていたギーシュとマルコルヌは身体を逸らした格好のまま首を捻る。
「――ッ!! シロウッ! そうよシロウはどこっ!!」
「シロウ? シロウもいるのかい? ぼくは見てないけど」
ガクガクと身体を震わせながら、ルイズは周りを見渡しながら震える声で士郎の名を呼んでいる。それを怪訝な顔をしてギーシュとマルコルヌが見ていると、ゆっくりとルイズが二人に首を向けていく。
「……撤退は……間にあった……の……?」
「あ……ああ。これがロサイスを出航する最後の船だけど」
カチカチと歯を鳴らしながら、問いかけてくるルイズに、何やらただらならぬものを感じながらもギーシュは頷きながら答える。すると、まるで糸が切れた人形のように、ストンとルイズが甲板の上に膝を落とした。
「い、や……いや……いやよ……こ、こんなの……」
口を戦慄かせ、目の前に映る現実を否定するように頭を振りながら、震える声でルイズは呟き始める。
繰り返し同じ言葉を呟き続けるルイズを心配し、ギーシュとマルコルヌが近寄ろうとしたが、
「ミス・ヴァリエールッ!!」
「ルイズッ!!」
背後から現れた二人の黒髪の少女から弾き飛ばされた。ギーシュとマルコルヌを弾き飛
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