第一幕その四
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
は娘にペンダントを与えていた。自分が持っているのと全く同じものをな」
彼は言葉を続けた。
「そしてそれを持つ者こそ私が長い間捜し求めていた娘なのだ」
「では私は総督の・・・・・・」
アメーリアはそれを聞いて身体が震えるのを覚えた。
「そうだ、そなたは私の娘なのだ」
それはシモンも同じであった。長い間捜し求めていた娘が今ここにいるのだ。
「こんなところでお会いするなんて・・・・・・」
「それは私も同じだ。これも神の御導きか・・・・・・」
二人はヒシ、と抱き合った。涙が零れる。
「マリア、ようやく会えた」
「それが私の本当の名前ですのね」
「そうだ、心優しき聖母の名だ」
シモンは娘の顔を見て言った。
「私は長い間一人だった。そしてそなたを捜し求めていた。だが今ここにこうして出会えた。もうこれで満足だ。私の願いが遂にかなったのだ」
「出会える筈もないと思っていた本当の親に出会えるなんて・・・・・・。これが奇跡でなくて何なのでしょう」
「私はもう一人ではないのだ」
「これで私は孤児の哀しみから解き放たれる」
二人は口々に言う。
「場所を変えよう。つもる話がある」
シモンは娘を屋敷の中へ導いた。
「はい」
娘はそれに従った。こうして二人は出会いの喜びを二人で確かめ合ったのだ。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ