第二十五話 飛ぶ魚その四
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「それもな」
「封印、ですか」
「それも出来るんですね」
「妖怪や幽霊を封印する話は多いのう」
博士は二人を試す様に話していく。
「そうじゃな」
「空海上人とかですね」
聖花日本の仏教の歴史における最大の天才とさえ謳われる高僧の名前を出した。空海については様々な伝説が残っている。
「あと安達ヶ原とか殺生石とか」
「ほう、知っておるか」
「子供の頃本で読みました」
それで知っていることだった。
「そういう悪い妖怪や悪霊は封印されるって」
「その通りじゃよ」
「けれどそれってね」
ここで愛実が聖花と博士に言う、今はフレンチショコラを食べている。
「悪い妖怪だけよね」
「ええ、そうよ」
聖花もその通りだと答える。
「悪い妖怪とか悪霊だけよ」
「じゃあ別にいいんじゃないの?」
愛実は今研究室の中にいる妖怪達を見回した、彼等はどう見てもだった。
「封印しなくても」
「確かにね」
聖花も愛実の言葉に頷く、だがだった。
聖花はそれでもここでこう言ったのだった。
「けれどこの学園って怪談話が多いじゃない」
「増えてく一方みたいだしね」
「それを怖がる人もいない?」
聖花はこのことが少し気になっていたのだ。
「幽霊見て怖いって思う人多いわよ」
「日下部さん達みたいに怖くない人ばかりだけれど」
「けれど知らない人が見たら怖いって思うわよ」
無論妖怪もである。
「人間って知らないものを怖がるだから」
「だからなの」
「そう、実際怪談を本気で怖がる子っているわよ」
「じゃあそういう子のことを考えたら」
「封印した方がいいかも知れないわ」
こう言うのである。
「泉を見つけたら」
「それで怪談のお話が増えなくなるから」
「そうも思うけれどね」
「ううん、そうなのね」
愛実は聖花の話を聞いて真剣な顔で考えた、そしてだった。
聖花に対してあらためて言った。
「私的にはいいって思うけれど」
「封印しなくてもよね」
「愛実ちゃんはどう思うの?この辺り」
「私もね、本音を言うとね」
聖花も真剣な顔で愛実に答えた。
「封印しなくてもいいんじゃないかってね」
「思うわよね」
「若し怪談を誰も怖がらなかったら、それで妖怪さんや幽霊さん達を怖がらないのなら」
それならというのだ。
「いいと思うけれど」
「それだったら」
「そう、私達以外の人もそう思うのならね」
「ふむ。その辺りはアンケートでもしてみるのじゃな」
博士は二人の話を聞いてこう告げた。
「まあそれはおいおいじゃな、今はな」
「今は?」
「今はっていいますと」
「泉をゆっくりと探すことじゃ、その辺りはよく考えておくか」
「はい、そうですね」
アンケート等の件はろく子が笑顔で話す。
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