第一幕その三
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「ハッ、これは失礼」
「わかればいい。じきに来るだろうしな。ところでここはすぐに離れた方がいいぞ」
「何故ですか?」
「うむ。ガブリエレ=アドルノがこの辺りに潜伏しているらしいのだ」
「あの男がですか!?まさかまた総督の御命を」
「おそらくな。何しろわしはあの男の父の仇だ」
「だとしたら厄介ですな」
「何、気をつけていれば心配は無い。だが油断をしてはいけないな」
「御意に」
そこへアメーリアがやって来た。
「来たか」
シモンはそれを見て微笑んだ。そしてパオロ達に対して言った。
「皆少し休むがいい。長旅で疲れただろう」
そう言うと部下達を庭から下がらせた。
「あの娘がもうすぐ俺の妻になるのだな」
パオロは下がりざま彼女の顔を見て言った。後にはシモンとアメーリアだけが残った。
「お久し振りです、総督」
アメーリアは一礼して言った。
「はい、お元気そうで何よりです。ところで」
シモンは早速彼女に尋ねた。
「貴女のご親戚はまだこのジェノヴァに帰っては来られないのですか?」
「それは・・・・・・」
アメーリアはその質問に口ごもった。シモンとは友好的な関係にあるグリマルディ家だがやはり彼と仲が良くない者もいるのだ。彼等はピサ等に亡命している。
「仕方ありませんな。ここに帰れば私に頭を下げなければならない。プライドの高い彼等はそれが嫌なのです」
その通りであった。彼等はその誇りを維持したい為に平民出身であるシモンに頭を下げたくはなかったのだ。
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