第九十二話 アルブレヒト戴冠
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るな、何とかして断らなければ)
とマクシミリアンが断る為の言葉を選んでいると、今まで黙っていたカトレアが助け舟を出してきた。
「アンリエッタはまだまだ子供。アルブレヒト閣下のお眼鏡に適うにはもう少し時間が掛かりますわ。それよりも晩餐会が行われいる大ホールで足を伸ばし、未来の皇后様をお探しになられては如何でしょう?」
折りしも晩餐会で行われている大ホールから、テンポの早い音楽が流れてきた。
「この曲はダンスの時に良く流れる曲ですね。アルブレヒト殿、我らも行きますか?」
「う、ううむ、そうですな」
マクシミリアンの言葉に知恵者のアルブレヒトもこれ以上は無理と察したのか、控えていた家人に自分もダンスに参加する旨を伝えた。
……
晩餐会が行われている大ホールでは、老若男女の貴族が色とりどりに着飾ってダンスを踊り、場の雰囲気は最高潮に達しようとしていた。
その中で、ひと際目立つ少女が一人アンニュイな表情で佇んでいた。
ツェルプストーのキュルケは、13歳とは思えないほどの見事な胸をギリギリまであらわにした刺激的な紫のドレスを身にまとって、ダンスを誘いに寄って来るゲルマニア貴族の少年達をあしらっていた。
「……つまらないわ」
キュルケは晩餐会が始まって以来、お目当ての男を探して大ホール内を彷徨ったが、お目当ての男は一向に姿を現さない。
お目当ての男とは、言わずもがなマクシミリアンの事なのだが、何故キュルケがマクシミリアンにちょっかいを掛ける様になったのかというと、因縁のラ・ヴァリエール家の次女がマクシミリアンに輿入れした事から、巷で噂になっているマクシミリアンに興味を示したのが始まりだった。
当初はツェルプストー家とラ・ヴァリエール家の因縁に従うように、カトレアからマクシミリアンを横から掻っ攫って、ラ・ヴァリエール家を天下の笑いものにしようと企てたのだが、マクシミリアンの事を調べているうちに、キュルケはマクシミリアンの偉業を知り惹かれるようになった。
『微熱』の二つ名を持つキュルケとはいえ、恋の火はまだ小さくラ・ヴァリエールに恥をかかせる目的の方が大きい。
「それにラ・ヴァリエールの次女は他の姉妹と違って大人しいみたいだから、突っかかってこないし張り合いが無いわ」
マクシミリアンにモーションを掛けた時、カトレアは歴代のラ・ヴァリエール家の者と違って癇癪を起こしてキュルケ突っ掛かってくる事は無かった。
裏では割と嫉妬深い所をマクシミリアンに披露していたのだが、それを知らないキュルケは退屈を持て余し、品定めしておいた貴族の誘いを受けようと歩を進めた。
「仕方ないわ、ストックしておいたお方とダンスを踊ろうかしら……あら?」
キュルケは大ホールの
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