第九十二話 アルブレヒト戴冠
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々にアルブレヒトの戴冠を祝った。
アルブレヒトは帝国貴族達の歓声に応えるように手を挙げる。
ガリア王の代理であるシャルルも人目につき易いような位置で拍手し、マクシミリアンとカトレアも拍手をしてアルブレヒトの即位を祝福した。
……
戴冠式は滞りなく終わり。
舞台は晩餐会の行われるアルブレヒトの居城ホークブルク宮殿へと移る。
そんな時トリステイン諜報局からマクシミリアンへ一つの情報がもたらされた。
「陛下!」
「どうしたミシェル」
ホークブルク宮殿への道中ミシェルが、マクシミリアン達の乗る馬車にグリーズを併走して横付けし急報を知らせてきた。
「トリステイン諜報局員と名乗る者からこのような物が……」
ミシェルは胸元の鎧に挟んだ紙を取り出し、馬車の窓を開け顔を出したマクシミリアンに手渡した。
「トリステインの花押が掘られている本物だな。ありがとうミシェル下がってよい」
「御意」
マクシミリアンは馬車の窓を閉め座席に座ると、諜報局からの急報を開いた。
「なんて書いてあるんですか?」
「まあ待て」
マクシミリアンは急報の内容を読み始めると、無意識に眉間にしわが寄った。
急報の内容とは選帝候の一つブランデルブルク辺境伯が、ボヘニア地方の穀倉地帯シレージェン地方に侵攻した情報だった。
これは明らかな反乱であり地方の反乱とは訳が違う。強大な諸侯がゲルマニアに対し反旗を翻した瞬間だった。
マクシミリアンの眉間にしわが寄ったのは何故か?
それは先日の前ゲルマニア皇帝殺害の頃から懸念していた事だが、チェック人といい今回のシレージェン侵攻といい、ゲルマニアにおける謀略は完全にコントロール不能に陥った事の証明だった。
「となると、次に何が起こるか分からないな……」
そして、マクシミリアンのもう一つの懸念。
それは下手をすればゲルマニアが完全にバラバラに分裂してしまう事への懸念だった。
マクシミリアンはゲルマニアを滅ぼすつもりは無い。
無いが何度も『ゲルマニアに侵攻して近代化させた軍を使ってみたい』と、子供の様な誘惑に負けそうになった。
その都度、『いや駄目だ。近代化による富国政策が最重要課題だ』と自分に言い聞かせて誘惑を封殺した。
「マクシミリアンさま。難しい顔をしてどうなされたんですか?」
馬車の向かい側に座っていたカトレアが、マクシミリアンを不安そうな顔で見ていた。
「ああ、ちょっとね」
「それで、どの様な内容が書かれていたのですか?」
「後で知られるだろうから言うけど。ゲルマニアの諸侯が反乱を起こしたそうだ」
「まあ! なんという事でしょうか」
カトレアは手
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