第一夜
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ついにランサーの宝具がセイバーの目の前に姿を現したのだ。
十字の形を模し黄金色に輝く槍。
その槍から放たれる膨大な魔力を感じるよりも早くセイバーはあの槍が自身にとって危険だと気づいた。
それが一体何なのかセイバーには分からない。
だが、どんなことがあろうともあの槍の一撃を受けることは絶対に避けなければ。
ランサーが動く。
先ほどとは比べ物にならない精度と速さとでセイバーに襲い掛かる。
視覚すべてを覆うランサーの槍衾を何とかセイバーは凌いでいく。
だがその攻防は先ほどの互いに余裕のあるものではなく徐々に戦況はランサーに傾きつつあった。
必死に防戦するセイバーだが、ランサーの槍の一振り一振りが今までとは比べ物に成らないほど重く鋭い。
が、セイバーが保有する直観スキルがランサーの猛攻にあって僅かな勝機を見つけた。
(この甘い一撃を見逃さなければ)
ランサーの必殺の突きを半身で躱し、銅鎧で弾いた隙に一撃を叩き込む...筈であった。
ほんの僅か槍の刃がセイバーの鎧に触れると同時に強烈な電撃がほとばしる。
驚愕、ランサーの槍は雷の力を秘めていたのだ。
セイバーの魔力で編んだ鎧を伝わり電撃が体中を駆け巡る。
体は危険と判断しすぐさま離脱しようとする、がセイバーの強靭な意志が離れるのではなくこのまま攻撃することを命じた。
セイバーの渾身の一撃、だが電撃によって鈍った剣先はランサーの体を覆う布を切り裂いたに過ぎない。
しかし、ランサーもまさか電撃を受けてなお攻撃するとは思わず、地面を蹴り一旦セイバーと距離を取った。
最初と同じく両者が対峙する。
だがその状況は一変していた。
ランサーは宝具と自身の姿を晒すも殆ど無傷、対してセイバーは電撃のダメージと無茶な攻撃で少なからず消耗している。
と、アイリスフィールがセイバーに治癒魔法をかける。
アインツベルンの魔法が傷を癒す中セイバーは要約姿を現したランサーのサーヴァントを見て苦い表情になる。
それは此度の聖杯戦争でセイバーの天敵とも言ってよいサーヴァントだったからだ。
「雷の力を纏いし竜殺しの長槍。獅子面の黄金鎧。まさか火の時代の英霊が此度の聖杯戦争に召喚されているとは思いませんでした」
火の時代、それはセイバーが生きた時代よりも遥かに昔に存在し竜狩りの名をほしいままにしたある英雄がいた。
「伝説の四騎士筆頭オーンスタインと手合せできるとは光栄です」
聖杯戦争、それは時空を超えた英霊達が集い聖杯を求め争う魔術師たちの闘争。
ここ冬木の地にて四回目を迎えた聖杯戦争はここから更なるイレギュラーな事態に巻き込まれようとしていた。
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