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東方調酒録
第七夜 射命丸文は取材する
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らしながら言った。
「そう、 お腹すいたわ!」
「分ってますよ、 でも少し休ませてください」
「おなか空いてるのよ! 私が!」
悠はため息をついて、外に作られた仮の調理場に向かった。向かう途中で霊夢に目を向けた。霊夢もこちらを向いていたので見つめあう形となった。しばらくして悠はまた、ため息をついて歩き出した。霊夢は訳が分からないという顔をしたが、悠は内心で霊夢とは結婚したくないな……と思っていた。
 
 悠が全員分の料理を終わらせた頃に魔理沙が天狗の少女と戻ってきた。天狗の少女は黒髪のショートで赤い瞳、赤い山伏風の帽子をかぶっている健康そうな少女であった。肩には黒いカラスを乗せ、フリル付きの黒スカートに白の半袖シャツを着ていた。
「ごめんな、悠。 文に捕まって、 ああ、こいつは射命丸文っていうんだ。 新聞屋で、今は悠とこの店を取材してるみたいだぞ」
「こんにちは、 射命丸文です。 烏天狗で情報屋みたいな仕事をしています。 新しいお店を開くみたいで是非取材させていただこうと思いましたが、美味しそうな御飯が並んでるみたいで、食事の後少し相談してもよろしいですか?」
礼儀正しい挨拶ではあったが、ご飯は食べるみたいであった。厚かましい性格のようだ。
「粗末な食事ですがどうぞ」
「お酒は? 何か作ってくれるのかしら?」
紫であった。悠は少し考えたのち一つの木箱を運んできた。
「やっぱり労働の後はこれですよ! ビールです!」
栓抜きがないので悠は箸サイズの鉄の棒を蓋にあて、てこの原理で苦労してふたを開けていた。霊夢が見かねて素手で軽く蓋を開けてくれていた。それを見て悠はやっぱり霊夢さんとは結婚したくないな……と内心強く思った。ビールを開け終わった悠は全員にコップを渡しビールを注いだ。
「今日は手伝って頂いてありがとうございます。 最初の一口は一気に飲めるだけ飲んでください、 乾杯!」
乾杯っと言ってほとんど全員が一口で飲みつくした。幻想郷のモノ達は基本的に酒に強い。喉が渇いた時のビールの一気飲みは至高である。反応から見てビールは気に入ってくれたみたいだった。
「味に飽きたら言ってください。 ビールを使ったカクテルを作りますので」
悠がみんなに呼び掛けた。
「のどごしはいいけど、 物足りないわね」
そう言いながら霊夢はウィスキーをあおった。
「ボイラーメーカー……」
悠がそれを見てつぶやいた。ボイラーメーカーはビールとウィスキーを交互に飲む飲み方である。手っ取り早く酔いたい者にお勧めな飲み方だ。

 ――「取材はしなくていいですか?」
悠が文に声をかけた。
「ええ、 今回の記事は色んな方に取材して完成してるから、後は写真を撮らせて貰えれば、大丈夫ですよ」
「そうですか…… 新聞の記事はいつだって本人の知らぬ間に完成して
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