第四話 勝と十六夜
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ま――」
刹那、十六夜の姿が勝のすぐ目の前にまで迫っていた。それと同時に、十六夜はその拳で思いっきり勝を殴りつける。
第三宇宙速度を遥かに超えたその拳の速さに戦慄を覚えたものの、勝はすぐに冷静になり、その拳を正面から殴りつけることで威力を相殺する――と同時に、十六夜の目が驚愕によって見開かれた。
「――オイオイオイ。今のは結構本気で殴りつけたつもりだったのに、まさか正面から同じ攻撃で相殺されるなんて・・・・・・やっぱり、お前のギフトはそういう仕組か」
「さて、僕のギフトとは一体何のことでしょうか?」
おどけると同時に、お互いが腰を捻って第三宇宙速度を超越した速さで蹴り合う。全く同じ攻撃で、全く同じ威力の攻撃はぶつかりあい――その威力が相殺される。
「とぼけるんじゃねぇっての。お前のギフトは、その場に居る誰かの実力を、そのままコピーするっていうものだろ? だからこそ、俺と全く同じ攻撃と威力で、お互いが怪我をせずにその威力が相殺されて終わった――違うか?」
「・・・・・・・・・・・・参ったな。そこまでお見通しだとは」
間を開けて、勝の声が聞こえてくる。
見ると、その表情は確かに驚愕したそれだった。静かにしていても、やはり自分のギフトの正体を見破られたことに、驚きを隠せないのだろう。
しかし、十六夜には――その驚愕した表情は、限りなく胡散臭く見えた。まるで、まだ何かを隠しているような・・・・・・そんな感じがした。
「ハッ。胡散臭い表情浮かべていう台詞じゃないだろ眼鏡坊主」
「いえいえ。まさかその目で見て、二度試しただけでお分かりになるなんて・・・・・・本当に、恐ろしいものですよ」
始終ずっと胡散臭い表情。それが気に食わなかったのか、十六夜はチッ、と舌打ちをして勝に背を向けた。
「眼鏡坊主。お前、いつか絶対に潰してやる」
「そのお言葉、そっくりそのまま貴方にお返ししますよ」
チッ、と十六夜はまた舌打ちをしたかと思うと、そのままパーティー会場の方へと戻っていった。
勝はやっと一人になったところで肩の力を抜き、それと同時に脱力して屋敷の壁にもたれてその場に勢いよく、というよりは半ば倒れるようにして座った。
「はぁ・・・・・・最悪だ。まさか、もう既に四割近く正解を導いていたなんて・・・・・・」
月明かりに照らされる中、勝は力尽きたかのように脱力して首を垂れる。今はもう、体の何処かに力を入れることすら辛くて、ただ脱力して空虚な目で地面を見つめる。
「は、は・・・・・・僕だって、体力無尽蔵じゃないんだから・・・・・・流石に疲れるんだよ? そんなすぐにコピーなんて出来ないし・・・・・・第一、コピーとはニュアンスが違うんだよ? 僕のギフト――
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