第四話 勝と十六夜
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にピンポイントに吹き飛ばす。
「――って、のわぁぁぁ!?」
柱の陰に隠れていた勝は堪らず声を上げてすぐに十六夜達と同じ地面に転がり落ちる。あと数瞬でも反応が遅れていたら、アルゴールに押し潰されていた事だろう。
「十六夜さん、今の分かってやったでしょう!?」
「こそこそ隠れて見物しているのが悪い」
勝の言葉を否定せずに、そっちが悪いと罪をなすりつける十六夜。
これを口実に一度奇襲してやろうかと思った勝だが、まだまだ十六夜の力は未発達なものだと自分に言い聞かせ、何とか闘争本能を抑える。
「このギフトゲーム、ノーネーム¢、の勝利と――」
「おっと、そうだ」
と、黒ウサギがこちらの勝利宣告をしようとした時、十六夜が意地の悪い笑みを浮かべて口を挟む。
「もしこのままゲームで負けたらお前達の旗印、どうなるか分かってるんだろうな?」
「何? お前達の目的は、あれじゃないのか?!」
虚脱していたルイオスが見知らぬ――いや、数日前にガルドの屋敷で出会った鬼種≠フ純血の女だった。
(やばっ!? 他言無用にとは釘を刺したけど、これでもしバラされたら――!)
最悪、このノーネーム≠ノ居座ることが出来なくなる。まだまだ、このノーネームは知名度がうなぎ上りに上がっていきそうだというのに、その途中でそこから放り出されるのは勘弁願いたかった。
(せめて、僕の名が知れ渡り始めてからだったら――!)
それであれば、バレた時は心置きなく抜けられたというのに。タイミングが悪いにも程がある。
しかし、今更ルイオスに手を貸す事など出来ないし、何よりこの残念な男にあのような可憐な少女を任しておくのは、少々――というかかなり心配が残る。
そこまで考えて、勝は溜息を吐いて考えをまとめた。
(・・・・・・なるようになるか)
――完全に投げやりな答えだった。
「それが嫌なら――」
と、考え事をしている内にまた話に取り残されてしまった。この癖は直さないといけないなと思いつつ、勝はその話に集中しようと意識を傾けた矢先に――
「来いよ、ペルセウス。命懸けで――俺とそこの眼鏡坊主を楽しませろ!」
「はっ?」
話に取り残されていた勝には状況を把握しきれず、ただ獰猛な快楽主義者が、手を広げて何かをしているようにしか見えなかった。
しかし、ルイオスは何か危機迫った表情と気迫で――十六夜を、そして勝を直視した。
「あ、ちょっとは楽しめそうかも」
ルイオスの目を見て不意に、勝がそんなことを呟いて、抑えていた闘争本能を剥き出しにする。隙あらば、十六夜にも仕返しとして攻撃しようなどと野心を持って、勝は構える。
「負けない・・・・
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