第四話 勝と十六夜
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、耀によって楽々入手が出来た為、勝の出番が一つも無かったのだ。
そして今はただのストーカーと化しているのが勝の悲しい現状だった。
そして何だかんだ言っても、勝もまだ見つかってはいなかった。ペルセウスのメンバーは全員左右と下に集中しているあまりに、上を見張る事を怠っていたのだ。
(真上の天井を音も無く移動するなんて、流石に考えてないんだろうなぁ・・・・・・それに僕、影薄いし)
他人事のように考えていると、その後はあっという間に難無く最奥の入口へ到着。最奥への道は一本道だった為、十六夜たちの姿は見えなくとも楽に追う事が出来たのは幸いだったといえる。
最奥に入って最初に見えたのは、体中に拘束具と捕縛用のベルトを巻いた、女性とは思えない乱れた灰色の髪をした化け物と、それに対峙する十六夜だった。
恐らくだが、あれが十六夜の言っていた隷属させた元魔王――アルゴールの魔王≠ネのだろう。
誰もがこちらには気付いていない。しかし、見物するに当たっては好都合だと思い、ひっそりと辺りにある柱の陰に隠れて様子を窺う。
(さて、お手並み拝見とさせていただきましょうか・・・・・・十六夜さん)
せめて期待を裏切らない戦いをしてほしいと思いつつ、内心では十六夜が負けて自分があのアルゴールの魔王と戦ってみたいと思うあたり、自分にもしかしたら戦闘狂の素質があるのかもしれないとふと思いつき、思わず一人で苦笑する。
(仮にも今は仲間だ。仲間の敗北を望むなんて、駄目でしょ)
と、思考の海にフルダイブしていた意識を元に戻して再び様子を窺うと、アルゴールの魔王の放った黒い鞭のような、布のようなものを片手で難無く止めた十六夜の姿が見えた。
(へぇ? あの速度の鞭を、まったく動くことなくしかも片手で・・・・・・)
と、考えていると今度は何本も黒いそれが現れ、それは全て太い蛇に変身して絞殺さんとばかりに十六夜の体に巻き付いた。
これは流石に不味い状況かと思い投擲用のナイフをポケットから取り出すと同時に、その認識が過ちだったことに気付かされる。
「おいおいこの程度かよ。魔王の名が泣くぜ」
そんな十六夜の声と共に、その体に巻き付いていた蛇が全て弾け飛んだ。恐らく、力任せに強引に、やったのだろう。十六夜は無傷で、依然そこに余裕と闘争本能剥き出しの笑みを浮かべていた。
刹那、勝にゾクリ、と悪寒が走った。同時に、白夜叉のときと同じ――細胞は震え、歓喜のあまり煮え立つ血液の叫び、そして十六夜という男の正体不明の馬鹿力へ集中する好奇心と探究心、そして自分の奥底に潜む十六夜への恐怖。
(逆廻、十六夜・・・・・・面白い、面白い!)
溢れ出る闘争心を必死で抑えながら、彼は十六夜の行動を見逃
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