裏通りの鍛冶師
とあるβテスター、洞窟を行く
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す。目標を仕留めるか、HPが危なくなったらすぐに転移結晶で脱出。これでいい?」
「はーい!」
「俺が先頭なのは決定済みかよ畜生!」
文句を言いつつも、律儀に槍斧を構えるリリア。
将来は女房の尻に敷かれるタイプなんだろうなぁなんてことを思いつつ、彼に続いてシェイリは斧、僕は投擲用ナイフを手に持ち、臨戦態勢に入る。
僕がリリアに先陣を任せたのは、ただの嫌がらせ……というわけではない。
この数を相手にするなら、先陣は相手の間合いに深く入り込む必要のあるシェイリより、リーチと攻撃範囲に優れた槍斧を扱う彼の方が適任だからだ。
実際、両手槍スキル《ブランディッシュ》の攻撃範囲は、両手斧の範囲攻撃技《ワールウィンド》よりもかなり広範囲に設定されている。
リリアが相手に気付かれる前に飛び込み、広範囲攻撃技による先制攻撃で敵陣を撹乱。体勢を崩した敵にシェイリが止めを刺し、僕は彼らの死角を守る。
こういった戦法で戦っていけば、いずれ目当てのモンスターに当たるだろうという寸法だ。
……まあ、意趣返しも少し含まれているのは否定しないけれど。
そもそも彼がアルゴを怒らせなければ、わざわざ全員を相手にする必要もなかったわけだし。
「さ、いつでもいいよ。頑張って」
「がんばってー!」
「ク、クソッタレが……!ええい、やりゃあいいんだろ、やりゃあ!」
悪態を吐きつつ、リリアは槍斧を振り回しながら敵陣へと突っ込んでいった。
それと同時、一匹のゾンビがちょうどこちらを振り向き、武器を構えながら猛進してくるリリアの姿を視界に収めた。突然の襲撃者に応戦するべく、手に持った武器を振り上げようとする。
「おらああああ!鍛冶師なめんじゃねえ!!」
だけど、もう遅い。
敵陣のど真ん中へと飛び込んだリリアは、走りながら既にモーションに入っていた《ブランディッシュ》を発動。
白銀のハルバードが大きな円を描くように振るわれ、彼を中心としたほぼ360度に位置する敵が、刃によって薙ぎ払われた。
「よし、シェイリ!」
「うんっ!いっくよー!」
範囲攻撃によって薙ぎ払われたゾンビのうち、一番多くHPが残った敵へと向かってシェイリが肉薄する。
攻撃の間合いに入ったと同時に大きく跳躍し、深緑のライトエフェクトを纏った斧で上段から叩き斬った。
両手斧 重単発技《オーラアクス》
ただでさえ重量のある両手斧に、降下の勢いも加えた垂直斬り。
いくらアンデッドであるゾンビといえど、身体の構造そのものは人間と変わらない。
ましてや筋力値特化のシェイリから繰り出される重攻撃に、そこらの敵が耐え切れるはずもなく。
弱点である頭部を力任せに叩き割られ、そのまま胴体までを一直線に斬られたゾンビは成す術もなく消滅した。
「………」
「ね、次はー?」
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