裏通りの鍛冶師
とあるβテスター、洞窟を行く
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そったれー!」
「こらシェイリ!真似しちゃ駄目!」
すかさず距離を詰めたシェイリの攻撃によって、荒くれ者のゾンビは頭と胴体を切り離され、ポリゴン片となって消滅した。
彼女はホラーが苦手な僕とは違うようで、いつもと変わらない笑顔でゾンビを切り刻んでいく。
『ここを狙うのが一番倒しやすいんだもん』と、相変わらずの斬首で敵を葬るシェイリ。
そんな彼女の戦い方に慣れている僕ですら、腐りかけの生首が宙を舞う絵図には戦慄せずにはいられない。
『SAOは他のMMOと違って戦うのが怖い』と言っていたあの日のシェイリさん、あなたはどこへ行かれてしまったのですか?
それと、リリアの真似はやめようね。女の子がそんな言葉遣いをするものじゃありません。
「だあああ!しっっっつけえ野郎だな畜生ッ!」
一方、シェイリに悪い言葉を覚えさせた張本人である鍛冶師はというと、手斧を持った腐乱死体と死闘を繰り広げていた。
ちょうど、彼が戦っているゾンビが最後の一体のようだ。
「オラァ!さっさとくたばりやがれ!」
ずっとソロでやってきたというだけあって、リリアの戦闘能力は攻略組プレイヤーと比べても何ら遜色はなかった。
武器の性質上、両手斧を扱うシェイリと比べていくらか火力は劣るものの、敵の攻撃を避ける動作は彼の方が手馴れている。
「うおっ!?ちょっ、洒落にならな───だあああっ!?あっぶねええええ!ふざけんなクソがっ!」
……というよりも、回避だけ異様に上手い。
敵が動くのを見てから避けるというより、敵が動いた時には既に回避の動作に入っている。
といっても、彼の避け方は相手の攻撃パターンを完全に見極めているなんて綺麗なものではなく、攻撃の予兆を本能的に察知して避けているといった感じで、なんというか非常に惜しい。それとうるさい。
「クソッ!いい加減にしろよこの腐れ脳味噌野郎が!」
攻撃と回避の応酬を数回繰り返した後、リリアは悪態を吐きながらも敵のソードスキルを回避し、お返しとばかりに槍斧にライトエフェクトを纏わせる。
両手槍 広範囲攻撃技《ブランディッシュ》
その場で身体を一回転させ、勢いを乗せた横薙ぎの一撃を放った。
槍斧の刃が術後硬直で動けないゾンビの脇腹に食い込み、腐肉がぐちゅりと音を立てる。
「〜〜〜〜!!」
それを聞いたリリアはものすごく嫌そうな顔で敵から刃を引き抜き、崩れ落ちたゾンビの頭部目掛けて槍斧を振り下ろす。
ぐしゃあ!という何とも不快な効果音と共に、顔の中ほどまで刃を食い込ませ、同時にHPゲージが空になって屍人は消滅した。
……うん。
僕、暫く肉は食べたくないかも。
なんというか、生肉を見たらこの光景が浮かんできそうで……おぇ。
「……、ハッ……!俺に楯突こうなんざ百年早えぇんだよ
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