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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第三十五話 Konzertmeister
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甲師団《フルンツベルク》」

パンツァーファウストの集中砲火が至近距離から放たれる。足元の槍を避けるために跳躍した彼は砲弾雨を躱すことができない。だが、躱せないなら真っ向から挑めばいい。

「うおおぉぉォォッ―――!!」

斬り返し、弾き飛ばし、防ぎ、逸らし、止むことのない嵐の砲弾を掻き消す。だが、刹那―――

「まだ戦場には不慣れかね?一対一に慣れすぎたか?それでは生き残れん。これは御前の決闘ではないぞ」

多角的な波状攻撃。おおよそ戦争知り尽くした戦い方だ。当然ともいえる。そもそも戦争というジャンルにおいて彼に敵う者などいないのだ。

「さあどうする?失望させるな」

走る聖槍。投げ放たれたそれを蓮は右腕を振り上げ防ぐ暇はない。

「だったら―――」

避けろ、間に合え。そう彼は心で叫ぶ。

「マリィッ―――!!」

無論、彼女の名を呼ぶそれは断末魔などではない。死力を振り絞り、流出の理を強化する。結果、一瞬だが聖槍の穂先が停滞した。

「――――ぬッ!?」

「ハアァァァ――――!!」

これは大きな隙だ。ラインハルトの聖槍は手元になく、蓮は一気に距離を詰める。そして放たれた一撃は傷こそ付かなかったが確かにラインハルトの頬を翳めた。

「フム、確かに厄介だな、その覇道。よかろう、では少し趣向を変えるか」

自らの頬を撫でながら、触れた感触を確かめるように喜色を露わにする。そして不意にそんな台詞を放つ。

「……?」

「すでに理解したと思うが、私は私の軍勢(レギオン)を操れる。銃兵には銃を、砲兵には砲を、各々得意とする武器を宛行、編成するのが指揮官の冥利だ。有体に言えば、人を操る手練……それに長けていなければ将にはなれん」

だがそれがどうした、とばかりに疑問を浮かべる蓮。そして、その解をラインハルトはいう。

「故にだ、こうは考えられんかね。私は部下の総てを知っている。その魂、その渇望、我が内海(ヴェルトール)に溶ける小さき愛児たち……彼らは私で、私は彼らだ。今や同化しているのだよ、我々は」

さて、突然だが今のラインハルトは十全ではあるが完璧ではない。マキナやルサルカ、ベアトリス、カインをその手から零した彼は―――【史実】と、そう呼ばれるもので得ていた戦力を失っている。では彼が弱体化したかといえばその答えは是ともいえるし否ともいえる。
逆に言えば蓮は確実に力を強めていると言えるだろう。事実、この攻防の終わりに本来ならば息を切らしていたはずの彼だが、そんな様子を見せなどしていない。
一方でラインハルトは確かに多くの魂、特にマキナを失ったことで軍勢そのものの総量こそ減ってはいるが、それは彼にとっては微々たるものであるし、本来存在しなかったアルフレートの魂を持つこ
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