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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第三十五話 Konzertmeister
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のが彼にとって呼吸をする事と変わりはしない。
そして拮抗した互いの刃が同時に弾かれ、距離を置く。

「これを待っていた。これを見たかった。乞えよ、卿らの待ち望んでいたものがついに来たのだ。もろ手を挙げて、今、礼賛するがいい。
私はすべてを愛している。
故に総てを破壊する。
涙を流してこの怒りの日(ディエス・イレ)を称えるがいい!!」

高速で打ち合いながら、ラインハルトは謳うがごとく断言する。己こそが祝福であると。己こそが人類の渇望だと。神を気取るような傲慢さを見せ、全世界を呑み込もうという破壊の自負に満ちている。

「俺が言っているのは、そんなことじゃないんだ」

人の真実がなんだのと、小賢しい哲学まがいを論ずる気はないと。目の前にある温かい世界が。

「ただ、そこにあったんだ。やさしい空気が存在して―――愛しい者がそばにいて―――だったらそれを、その陽だまりを守りたいと、そう思うことを、欺瞞だなんて言わせないッ!!」

怒号と共に、渾身の一撃が叩き込まれる。それは聖槍の一閃を弾き飛ばし、ラインハルトを僅かにだが仰け反らせた。
非現実の抑揚を否定するつもりはない。人には確かに闘争欲求は存在するだろう。だが、だからと言ってそれしかない世界なんて認めはしない。何故なら、血で塗りつぶされた空の下、人はどうやって日の温かさを感じればいいと言う。

「俺の好きなものをおまえに壊される覚えはないッ!!」

「ならば―――私を破壊してみるがいい」

無論だ。今更言われるまでもないだろう。

「食らえェェェッ―――――――!!!」

先ほどの攻撃で態勢を崩した今の彼では、これを凌ぐことなどできない。そう判断し、蓮は一撃必殺の断頭を振り下ろす。だが、

「第九―――SS(ホーエン)装甲師団(シュタウフェン)

「――――――――――ッ!?」

死者の群が、彼が纏う髑髏の一部が戦車に変わる。その数はゆうに百台を超えている。そして蓮に向けられた総ての砲が一斉に火を噴いた。

「ぐッ、おおおおおおぉぉォッ!?」

体を無理矢理なぎ倒すように捩じらせ転がりながら弾幕を躱す。だが、彼は息つく暇を与えない。

「第三十六―――SS擲弾兵師団(ディルレワンガー)

万を超える銃剣が彼の足元から突き上がる。その殺意に濁った眼は彼を捉え、槍禽を足元から貫かんとする。

「チィッ―――――!!」

躊躇うことなく、その場から飛びのいた彼は身を翳めることもなく躱しきる。これこそがラインハルトの流出。

「そう、私は軍勢(レギオン)だ」

そう呟いたラインハルトは跳躍し、蓮の目の前に現れる。

「何を驚いている、まだ序の口だろう」

そして指が弾かれ、

「第十―――|SS装
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