第百五十話 転封
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族がギョッとした顔になるが、フリードリヒ四世は咎めることもなく答える。
「男爵の懸念も尤もじゃ、其処で予は、フェザーンで行われている大規模集約農業という機械を使う農業を行って貰うつもりじゃ」
「大規模集約農業?」
「そうじゃ、今までのような鍬で農地を耕すのではは無く、集団農場を作り大型トラクターで農地を大規模に耕し、コストを削減し大量の作物を育てる方法との事じゃ」
「陛下、現在の領地でトラクターを使う事は出来ないのでしょうか?」
「それじゃが、現在は自作農が少量の土地を耕している。その場合各々がトラクターを購入せねば成らずに、大規模耕作が出来ないとの事じゃ」
「陛下、移封致しましてもそれだけの初期投資をするだけの資金が我々にはございませんし、数年はまともな作物が育たずに、納付することも出来ず、飢饉になる恐れがあります」
「それは尤もな意見じゃ、其処で予はこの移封に伴う資金の一切を下賜する事に致す。更に今後10年間は一切の徴集、徴兵を停止致す故、卿等は所領の開発に尽力して欲しい」
この後、数か月のすり合わせにより。皇帝陛下の意志の強さに驚いた彼等が移封を受け入れる事になった。
確かに先祖代々の開発してきた土地を離れるのは断腸の思いであったが、領民が餓死や身売りすることを考えれば、致し方無しと納得するしかなかったそうだ。
また領民も10年間無税、更に借金まで棒引きのためによほどの偏屈者以外は移封を受け入れた。その際先祖代々の墓地なども移動させる事が出来たことも移封反対に繋がらなかった要因であった。
この転封は帝国暦485年4月アムリッツア星系から始まり2年後の487年8月のボーデン星系まで続く予定となっている。移住人数5000万人という一大プロジェクトを国土省、軍務省、内務省、運輸省、商務省などの各省庁が垣根を取り払い協力することで2年強という短期間で移動を完成させる物である。
帝国暦485年1月13日
■オーディン ノイエ・サンスーシ 小部屋
小部屋でフリードリヒ四世、リヒテンラーデ侯、グリンメルスハウゼン上級大将、ケスラー中将、テレーゼが集まり、今回の首尾について話し合っていた。
「テレーゼ、バルトバッフェル男爵達の反応はかなり良い状態ぞ」
「流石です、お父様。演技派ですわ」
「ハハハ、アンネローゼとの惚気は国務尚書も唖然としておったわ」
みんなの目が、リヒテンラーデ侯に向く。
「陛下が、あの様な事を仰いますから、胆が冷えましたわい」
リヒテンラーデ侯があの時のことを思い出して愚痴を言う。
「済まぬな、ああでも言わんと、転封の理由付けができんのでな」
「せめて事前にお知らせ頂ければ良い物を」
「許せ、そちの仕切り直しで話が進んだのじゃから、結果オーライじ
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