第百五十話 転封
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まってきている理由である辺境の開発うんうぬんを教えて貰わなければ、来た甲斐がないと訴えている様であった。
「皆に集まって貰ったのは他でもない、この度、帝国国土省惑星開発局に開発させていた新規開拓40星系が居住可能になったのじゃ」
集まった貴族にしてみれば、自分達の星系の宇宙港、上下水道、道路の舗装などのインフラ整備の支援の話を期待していたのであるが、全く関係無い話をされて内心無駄骨だと思い始めていた。
そんな貴族の顔を見ながらフリードリヒ四世がからかうように話す。
「卿等の顔を見れば判るが、普段オーディンに来ない面々がこうして集まっておるのじゃ、期待はずれの話としても聞いていて損はないと思うが、どうなのじゃ」
フリードリヒ四世の言葉に顔色を変える面々。
「陛下、そろそろ臣が説明致しましょう」
「うむ国務尚書任せた」
リヒテンラーデ侯がフリードリヒ四世に代わり説明を始める。
「卿等が、オーディンに来た理由が殿下の祝いの為だけではないことは、陛下も重々承知なのだ。陛下も辺境の疲弊を憂いでおられる」
リヒテンラーデ侯の話を聞く辺境貴族達だが、彼等にしてみれば、今まで散々な目にあわされてきた中央政府の首班たるこの老人の言葉は、自分達の財産を強奪した強盗が上辺だけの慈悲心を見せて居るようにしか見えず、余り関心がないようである。
「恐れ多き事なれど陛下の御心中を知るよしもない我等にしてみれば、何故辺境ばかりが犠牲になるのかと常々疑問に思っておりました」
バルトバッフェル男爵が口では何とでも言える。我等の苦しみを知らずに贅沢三昧の生活をしてきたくせにと言うニアンスで嫌みを込めている。
「卿等と卿等の臣民が塗炭の苦しみをしている事は予の無策のせいといえよう」
フリードリヒ四世のいきなりの言葉に皆が驚愕の表情を浮かべる。
「陛下、その様な事を……」
フリードリヒ四世の独白に今までの疎外感的な違和感が消える。
「卿等の土地が今だ天水に頼る農法を行い連作障害の結果、土地が痩せ、堅くなり、塩害と酸性化により年々収穫量が落ちつつある事も知っておる」
フリードリヒ四世の今までの姿を知っている辺境貴族達は皇帝が確りと情報を把握している事に驚きを隠せない。
「陛下、その通りにございます」
「更に、フェザーン資本により単一作物だけを作付けしたうえ、その作物を商社により買いたたかれ、生活必需品は輸入に頼らねばならないなど、憂慮すべき事態が多きことも判っておる」
フェザーンは借金にあえぐ辺境貴族へ言葉巧みに取り入り、星系内の未開発資源を担保に高利で資金を貸し出し、プランテーション式の農場で星系の首根っこを掴んで、大もうけするという事もしていた。
「陛下、其処までお分かりなのですか」
判ってい
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