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東方守勢録
第三話
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入っていたのはスタンガンが一つ・ハンドガンのマガジンが4つ・後は携帯食料とプライベート用の携帯。あとは、腰回りにぶら下げてあるハンドガンが一丁と、肩に付けた1本のナイフがある。


(これで十分。あとは……)


少女は警備の男を横目で見ながら、突破方法を考えていた。

下手に嘘をつけばかえって怪しまれる。かといってこのまま行くと、深夜徘徊で自室に戻されてしまう。それに、監視ルームに入るためにはICカードが必要で、カードを使用すると履歴が残る。履歴はリアルタイムで監視されており、見つかる可能性が高い。そうなってしまえばゲームオーバーだ。

だが、少女は比較的落ち着いていた。過去の自分だったらこのまま何も考えずに向かっていたはずだった。少女は必死に自分に問いかける。このままいくのはダメだ、何かを演じればいいと。


(……よし)


覚悟を決めた少女は、作戦の始まりとともにその一歩を踏み出した。



「あっ!! やっと見つけた!」

「ん? っと由莉香ちゃんか。だめだろ? 深夜に出歩いたら」

「すいません……でも、自室でちょっとトラブルがあって……手伝ってもらえますか?」

「? いいけど……よくこんな遠いところまできたな?」

「はい……自室の周りにだれもいなくって……」

「そっか。じゃあ行こうか」


そう言って男は由莉香に背中を向ける。それと同時に、由莉香はポケットから黒く光る物を取り出した。


「……ごめんなさい」

「え?」


少女の一言に反応し、振り返ろうとする男。だが、少女はそれにかまわずスタンガンを思いっきり背中に押し付けると、そのスイッチを入れた。


「おぐっ!?」


男は何とも表現しがたい声を出すと、気を失ったのかその場にたおれこんだ。由莉香はそれを確認すると、男の懐からICカードを抜き取る。 


「これでよし……せーのっ!」


由莉香は重たい男を必死に運び、近くにあった廃棄されるロッカーの中にむりやり押し込んだ。


「次は……」


由莉香は扉の前に立つと、男のICカードをカードリーダーに通した。


『カード認証完了。ロックを解除します』


アナウンスとともに扉が開く。その中では、一人の男が軽くうたた寝をしていた。


「念には念を入れて……」


由莉香は気付かれないように近づくと、ゆっくりと男の首元にスタンガンを押し付けた。


「ごめんなさい」

「ぐぼへっ!?」


へんな奇声を上げながら男は倒れこむ。由莉香は意識を失ったのを確認すると、足早に部屋を後にした。


「後は……」


由莉香はさっきカードを通したカードリーダーの下にある壁にナ
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