第三話
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そのためか、その場から動くことができなかった。
「それもそうですね……」
「今回の作戦に関して……妻は一番の障害だった。だから、退場してもらった」
「……」
「いずれまた障害になる者も出てくるだろう……そしたら、また退場してもらうだけだ。たとえそれが……娘であっても」
(!!)
上条の残酷な一言が由莉香の心に突き刺さる。絶望とともに心に大きな穴が開き始める。そして、由莉香は無意識に後ずさりをすしていた。
そんな彼女にとどめを刺すかのように、持っていた書類の何枚かが地面に落ちていった。
「誰だ!」
(っ!!)
由莉香はほとんど無意識で書類を拾い上げると、そのまま全力で走っていった。
「っ……逃げられた……か」
「かまわん。今の話を聞いて行動を起こせる人間などここにはおらん」
「はっ……ん?」
クルトがふと下を見ると、そこには一枚の紙が落ちていた。
(これは……書類の一部か……今日の担当は確か……少し面倒なことが起きそうだな……)
クルトは上条にばれないように書類を懐にしまうと、扉を閉めた。
「はあ……はあ……」
由莉香は無意識に走り続け、自室へと戻ってきていた。
「どうして……お父さんが……お母さんを……?」
上条が言った言葉が自分の脳内を駆け巡る。少し考えただけでも足元が震えそうになるくらい、恐怖心が生まれていた。
「間違ってる……の……? 私たちのやってたことが……」
生まれ続ける恐怖心を振り払いながら、由莉香はかすかに残った思考を使って考え続ける。
革命軍がここに来た本当の理由。母親が死んだ理由。すべてをパズルのようにつなぎあわせていく。
そしてすべてを悟ったとき、彼女は自分の人生をかけた決断を下していた。
「こんなの……だめだ……何とかしなくちゃ……俊司君達を……助けなきゃ!」
その日の夜
深夜0時を回ったころ。基地の内部は警備こそはされているが、人数もそこまで言うほど多くはなく、静まり返っていた。
原則、夜の警備に当たるのは成人の男性兵士のみで、女性兵士は特例を除き深夜の警備に当たることはない。未成年であればなおさらだ。
そんな中、物陰に身をひそめながら静かに行動する一人の少女がいた。
(……まずはここ)
少女は監視ルームとかかれた扉の近くに来ていた。扉の前では、一人の兵士が警備についている。
少女は軽く深呼吸をすると、ポケットやポーチの中身を確認し始めた。
中に
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