アインクラッド 前編
Deep psyche
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けられたポットからコップに水を注ぎ、渇ききった喉へと送り込む。
「んん、ん……?」
コップに入った透明の液体を全て流し込み、尚も不快感を訴える喉に二杯目を提供しようとしたマサキの視界に、メールの受信を示すアイコンが瞬いた。
何とはなしにウインドウを開き、送り主と内容をチェックする。そして浮かび上がったフォントには、驚愕の文字が綴られていた。
From: 茅場 晶彦
Main: おはよう、橋本君。朝早くにすまないね。私にも私なりに色々とこなさなければならない面倒ごとがあって、このような時間になってしまった。許してくれたまえ。
さて、それでは本題といこうか。
どうやら、この世界での出会いが、君に幾らかの影響を及ぼしているらしいね。この世界の創造主としては、実に喜ばしいことだ。これからもこの世界を楽しんでもらえたらと願っているよ。
それと、このメールに君へのささやかな贈り物を同封しておいた。知り合いである君を巻き込んでしまったことに対してのお詫びとでも考えてくれ。ウイルスやバグの類は仕込んでいないから、安心して使うといい。……そうだね、数日中には使うべきシチュエーションがやってくるのではないかな?
では、ゲームクリア目指して頑張ってくれたまえ。
……そうそう、一つ書き忘れていたが、君へのお詫びはもう一つある。今後、もしこのゲームに関して質問があれば、私の名前にメールを送るといい。答えられる範囲で、質問に対する返答を出来るだけ早くすることを約束しよう。では、また。
「ふうん。お詫び、ねぇ……」
マサキは半透明の文面を訝しげに睨んだ後、通常プレイヤーには備わっていない、添付欄のファイルをタップした。すると、マサキの胸の前に青いポリゴンが集まり、淡い光を放ち始めた。やがてそれは徐々に形をはっきりとさせていき、光が収束して具現化した物体が、マサキの両手に乗ったときには、誰もが知る武器へと変貌を遂げていた。
マサキは両手に握られたその物体をしげしげと眺めた。
僅かに反りが入った、片手直剣などと比べると異様なまでに細いシルエット、濃紺で統一された柄と鞘、鈍い金色に輝く鍔。――未だこの世界では存在が確認されていない、日本刀。その中でも打刀と呼ばれる種類のものだった。
「……こいつは、なかなかにいい物を貰ったのかも知れないな」
呟きながら、マサキは柄を右手で握り、鯉口をきった後に引き抜いて――。
「なっ……!?」
目を見開いた。これが刀であるならば、否、堅塁であるならば必ず必要な部位……刀身が、存在しなかったのだ。何度見直しても、柄から伸び、鞘に収まっているはずの銀色の刃を確認することができない。
――やはり、どこかにバ
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