ALO編
episode1 必然という名の運命2
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、というわけだ。
そこに至る過程は、ちょっと複雑だ。
お節介な母さんは、俺のことを心配して、ちょっと常軌を逸した(……と今では分かるのだが、当時は必要なのだと幼い俺は信じ込んでいた)レベルで俺に語学教育を施した。日常会話は勿論、敬語やら文法表現やらレポートの書き方、果ては日本人でもどこまで理解しているか分からんような複雑な古典まで学ばされた俺は、学校でも国語は優良児だった。というか、中高の入試も、そして二年までの高校の授業でも国語で困ったことはない。
それが高じて、中学時代から雑誌の読者からの投稿記事募集(ちなみにこの時は取材費という名目での賞金目当てだった)に頻繁に応募し、それが編集者の目に留まってバイトに誘われたのだ。「良ければ読者応募ではなく、正規の記者として定期的に記事を書かないか」と。
まんまと俺はそれに乗って、まあ、高校生のバイトにしてはそこそこに稼いでいたというわけだ。
SAOに囚われたことで、二年もの時間の経過でそのパイプは既に無い……というかその雑誌自体がまだ生き残っているか不安だった(失礼)ものの、恐る恐るその頃の連絡用アドレスに送ったメールはきちんと帰ってきた。返信では当時の俺の担当もまだ働いていること、そしてまた雇うかどうかに関しては一つ記事を読ませてもらって判断したいということを伝えられ……結果、俺は再び、記事を書くためにVRワールドへと旅立ったのだった。
俺の書いていた記事は、主にネットゲームのレビュー、スクリーンショットだった。担当もどうやら俺からは若者の意見というものを聞きたいらしく、それを生かす上でネットゲームは都合がよく、SAOに行く以前にも幾つかのVRゲームを手掛けていた。今回の記事に使ったのは、往年の名作ゲームをモデルにした、赤い帽子をかぶって空飛ぶカメを踏みつけていく主人公になって跳躍するという、当時も販売されていたゲームの最新作だった。
あっちの世界での『軽業』スキルが生きたのか、超難易度と言われるそのステージを久しぶりのプレイであっさりとクリアしてしまって少々目立ったが、その世界観と懐かしさ、他には出来ないアングルから撮影したスクリーンショットを生かした記事はそこそこに受けたらしい。
こうして俺は再びネットゲームのレビュアー…要するに、数多くのVRワールドを旅することを仕事とする様になった。そんな俺に、「アルヴヘイム・オンライン」という、あのSAOに劣らぬと謳われるゲームであるタイトルが勧められたのは、ある意味必然だったと言える。
運命という名の、必然と。
こうして俺は、その妖精の世界へと旅立つことになる。
様々な思惑の渦巻く……そして、仮想でありながらも、真実を含む世界へと。
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