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〜妖精郷と魔法の歌劇〜
シルフ領:スイルベーン
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助力によってどうにか全てをスイルベーンまで持ち帰ることができた。

このような場合は、死亡して先に転送された仲間と馴染みの店で改めてアイテム分配をするのが慣例となっていたが、リーファは少々悩んだ末にレコンに言った。

「あたし、今日の分配はいいわ。スキルに合ったアイテムもなかったしね。あんたに預けるから四人で分けて」

「へ…………リーファちゃんは来ないの?」

「うん。お礼にキリト君達に一杯おごる約束してるんだ」

「………………………………………」

先ほどとは多少色合いの異なる警戒心をにじませながらレコンが隣のレン達、とくにキリトを見る。

「ちょっと、妙な勘繰りしないでよね」

リーファはレコンのつま先をブーツでこつんと蹴っておいて、トレードウインドウを出すと稼いだアイテムの全てを転送した。

「次の狩りの時間とか決まったらメールしといて。行けそうだったら参加するからさ、じゃあ、おつかれ!」

「あ、リーファちゃん…………」

なんだか照れくさくなってきてしまったリーファは、強引に会話を打ち切るとレンとキリトの袖を引っ張って歩き出した。










「さっきの子は、リーファの彼氏?」

「コイビトさんなんですか?」

「ひょっとして元彼?」

「恋仲なんですか?」

「ハァ!?」

キリトと、その肩口から顔を出したユイ、その隣を煙管を吸いながら歩くレンと、更にそれに追従するように歩くカグラから異口同音に訊ねられ、リーファは思わず石畳に脚を引っ掛けた。慌てて翅を広げて体勢を立て直す。

ちなみにクーは、何食わぬ顔でのっしのっしと一行に付いて来る。

「ち、違うわよ!パーティーメンバーよ、単なる」

「ふーん、それにしちゃあずいぶん仲が良さそうに見えたけど?」

「リアルでも知り合いって言うか、学校の同級生なの。でもそれだけよ」

「へぇ………クラスメイトとVRMMOやってるのか、いいな」

どこかしみじみとした口調で言うキリトに、軽く顔をしかめて見せる。

「うーん、いろいろ弊害あるよー。宿題のこと思い出しちゃったりね」

「ははは、なるほど」

朗らかに笑うリーファとキリト。だが、レンだけはなぜか笑っていなかった。どこかきょとんとした表情で、こちらを見ている。そして、連れ歩くカグラも同様に笑ってはいなかった。

どこか、憐れむように斜め前を歩く小さな背中を見ていた。

時折すれ違うシルフのプレイヤーは、キリトの黒髪、そしてカグラの肌の色を見てギョッとした表情を浮かべた後、後ろを皇帝のごとくずんずん歩いてくるクーを見て腰が抜けそうな感じになるが、隣で歩くリーファに気付くと不審がりながらも何も言わずに去っていく。


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