ALO編
episode1 灰色で楽しい日常2
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うことだ。つまりは俺の体はレベルやアイテムでその性能が強化されるわけでもなく、薬草やポーションで疲労や傷がふさがるわけでもない、当然超能力や超人的性能が宿ったわけでもない、普通の体。
その体が、おかしいのだ。
犬の動き……敏捷性は、人間より上だ。
なのに俺は、その敏捷性についていってしまっている。
普通なら不可能。まして、病み上がりの人間にできるはずがない。
それなのに俺の体は、わずか四日でその動きを見切ってしまった。
思い当たる原因は、一つ。
デスゲーム、『ソードアート・オンライン』。
あの狂った世界で、俺はきっと何らかの「変化」を受けてしまったのだろう。単なるゲームではない、あの真に命を賭けた戦いの日々の中で培った戦いの勘が、未だに俺の脳に、体に、魂に残っている。それが、何の武道の心得もない俺の体を獣と渡り合えるほどに高めるくらいに。
怖い。
頭の片隅で、理性が呟くのを感じる。俺があの世界の影響で「どうなってしまったのか」。そしてそれ以上に、「この先どうなってしまうのか」……あるいは、「どこまでいけてしまうのか」、とでもいうべき恐怖。あの世界での剣や槍、毒液を避けた記憶。
「あの世界」での「敵」は。
間違いなく、「この世界」でのチンピラやヤクザより格段に強かった。
もし俺にあの世界での力が、何らかの形でこの世界に宿るなら。
それがどんなことになるのか……今の俺には分からない。
これは、よくない。まずいはずだ。
なのに。そうわかっているのに。
俺の鈍った頭は、その頭の片隅の警鐘に耳を傾けることをしないままでいたのだった。
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