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シモン=ボッカネグラ
第二幕その三
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あいつに神の裁きを与える時が来たんだよ」
 彼は聞き入れようとしない。
「いいからこちらへ」
 彼女はそんな彼を必死に宥める。そしてテラスの上へ隠れさせた。
 そこへ入れ替わる様にシモンが入って来た。
「娘よ、そこにいたのか」
 彼はアメーリアの姿を認めると微笑んだ。
(娘!?)
 テラスの上にいたガブリエレはその声が聞こえた。そして驚いた。
「御父様」
 アメーリアは彼を笑顔で出迎えた。
(それでは総督の消えた娘というのは)
 彼に娘がいたという話はガブリエレも聞いていた。
(アメーリアのことだったのか)
 彼はこの不思議な巡り合わせに驚愕した。
(何という事だ。僕の父を殺した男の娘が僕の愛しい人だったとは)
 だがこれはアメーリアも同じである。またそうだとしても二人の愛の炎は衰えることはなかった。
「どうした、何やら口論していたようだが」
「いえ、何でもありませんわ」
 彼女は先程のガブリエレとのやり取りを誤魔化した。

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