機動戦士ガンダムSEED
0192話
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めて後回しにされており、帰投した時のまま放っておかれているのだから。
俺とムウの返事を聞き、マリューは無言で通信を切った。
「……弱り目に祟り目って奴だな」
「何だ、それ?」
「困っている時に追加でどんどん不運な出来事が重なるっていう意味だよ」
「へぇ、詳しいな……おい、アクセル」
ムウの視線の先を追うと、そこには走って格納庫に入ってくるミリアリアと、それを追って来たのだろうトールの姿があった。周囲を見回し、こちらへと近づいてくるミリアリア。そしてその後を追ってくるトール。
「フラガ少佐、アクセルさん。キラは、キラはどこに?」
「おい、ミリィ! ……すいません」
「でも、おかしいわよ。キラはいつだって私達の側にいたじゃない。なら今回だってすぐに戻ってくるわよ! MIAだなんてそんな事!」
自分の感情を叩き付けるように、トールの胸を叩きながら泣きじゃくるミリアリア。そしてミリアリアを落ち着かせるように何度も背中を撫でているトール。
そんな2人の様子を痛ましげに見るムウ。俺はそんな3人の様子をただ眺める事しか出来なかった。だが、ここでキラの生存を教える事は出来ないのだ。ここでそれを言えば、どこからどうブルーコスモスの連中に話が伝わるか分からないのだから。
「くそっ、何がエンデュミオンの鷹だよ!」
ムウがそう吐き捨て、近くにあった壁を思い切り殴りつけた。自分のやりきれない思いを叩き付けるかのように。
バスターの収容やアークエンジェルの応急処置等、ようやく人心地ついた時には既に夜も更けていた。キラがMIA、戦闘中行方不明となってからほぼ丸1日が過ぎ、ようやくアークエンジェル内も多少ではあるが落ち着きを取り戻していた。
友人であるキラがMIAとなった事で興奮していたミリアリアも、今はトールのおかげである程度落ち着いているらしい。
アラスカの防空圏に入った事により護衛部隊として戦闘機も駆け付けてくれたおかげで艦内にも安堵の雰囲気が広がっている。
そんな状況の中、俺は第2戦闘配備で部屋に戻る事は出来ない為にパイロット控え室の椅子に寝転がっていた。
疲れを取るつもりで横になっているのだが、これからの事を考えるとどうしても眠れないのだ。アラスカまで到着するのはいいだろう。だが、そこで待っているのはザフトを引き入れてアラスカ基地ごと自爆させるという連合軍上層部の愚行だ。いや、それはいい。……正確には良く無いが、その流れは一介の傭兵である俺がどうこうしたって変えられる物ではないのだから。俺に出来るのはアラスカで生贄とされた戦力を少しでも多く引き連れてオーブへと戻る事だ。
その手筈を考えているうちに、気が付けば午前5時を過ぎ夜が明けていた。
「兄ちゃん、いるか?」
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