11 「男が泣いていいのは人生3回だけ」
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アイルー、メラルーの寿命は約40年。人間の半分程度だ。そう考えるとルイーズは現在花の乙女たる16歳前後なわけだが、16の乙女が額にタオルを乗っけて湯に浮かぶとは何事か。
対するナギはというと、腰にタオルを巻いたまま湯気の立つ温泉を前に、感慨深げにそれを眺めていた。熱めの湯にそっと足から入ると、指からジーンと震えが上った。寒くもないのにぞわっと鳥肌が立つ。
(ああ、この感覚何年ぶりか……これこそ風呂だ……)
こう考えると非常に不潔なイメージを持たれるかもしれないが、一応弁明しておくと、ちゃんと毎朝水浴びはしている。リーゼロッテと初めて会ったあの河でだ。朝冷え切った水を頭からかぶると、目がシャキっと冴える。
「はぁ……」
思わずため息がこぼれた。だんだん熱さに慣れてきたのでじゃぶじゃぶと見晴らしの良いところへ行くと、すぐ近くに渓流が見える。今は秋。紅葉の散る季節ということもあって、なんとも風情がある良い眺めだ。竜車でいくと2,3時間はかかるが、こうして見ると案外近くに渓流があるのだとわかった。
「こんニャ広いお湯に毎日浸かれるニャんて、村っていうのもニャかニャか悪くニャいニャ〜」
「お前な…毎日鍋風呂に入ってるのだって贅沢なんだから」
「わぁってるニャ、ニャアは単なる例えを述べたまでニャ。それくらい気持ちいいニャ」
「それは、そうだな」
2人して「はぁ〜…」と感嘆のため息を就いていると、洗い場の唐傘の下にいたねじりはちまきをしたアイルーがいそいそ寄ってきた。どうやら初回限定サービスで、1本ドリンクをまけてくれるらしい。
「じゃあ、ボコボコーラで」
「ニャアはラッキーヨーグルトニャ」
「まいどお待ちニャっ。これからも温泉に来た時には是非ドリンクを飲むニャっ。へへっ」
「にゃふー」
「おう、サンキューな」
炭酸の効いた20年ぶりのコーラは、記憶にある味と寸分変わらず美味であった。
熱い風呂に冷えたドリンクがとても美味。そのまま何年ぶりかの風呂を堪能していると、風呂場とギルドを分けている柵の向こうからリーゼロッテの声が聞こえた。
「ナギさん、お湯の加減はどうですか?」
「ん…ああ、すごく気持ちいいよ」
「ほんとですか! よかった〜。あの、くつろいでもらってるとこ申し訳ないんですけど、宴会の用意ができたので、ぼちぼち上がってください」
「わかった」
「にゃふー。ごちそうニャ!」
ぷかぷか浮いていたルイーズも、待ってましたとばかりに飛び起きた。
ごそごそ着替えていざ集会浴場を出ると、ナギは目を疑った。目の前から続く背の低いテーブルと座布団。その数は分からないが、兎に角それが村の入口近くまで延々続いている。階段のところも座布団を敷いて椅子替わりにしていた。そしてそのテーブ
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