11 「男が泣いていいのは人生3回だけ」
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るの。だから、皆自分の家の扉には大抵赤い骨飾りを掛けて、家に災厄を招かないようにしてるのよ。あと、屋根や柱に赤い布を巻いたり、赤い塗料を塗ったりもするわね」
耳慣れない言葉にルイーズが小首をかしげた。ナギも内心で疑問に思う。
「骨飾りっていうのは、モンスターの骨を削ったりして作った飾りのこと。小さめの竜骨なんかが一般的だけど、ちょっとお金を出すと竜の牙とか、上竜骨とかで作る家もあるわ。あとはハンターになればそれの首飾りを肌身離さず身につけるのが一般的ね。…ほら、これよ」
服の胸元を緩めて、その首飾りを見せた。ナギはちらりと視線を向けるにとどめる。ルイーズのようにしげしげとそれを見る勇気はなかった。主に視界に入ってくる胸元に。
「確かリーゼん家も良いもの使ってなかったかしら。うちはあたしが初めて狩ったジャギィの小竜骨を使ってるけど。ああ、でも鍛冶場には特注した火竜の翼爪を使ってるわね」
「大きい方がやっぱり厄払いの力も大きいのかニャ?」
「うーん、特にそう言うわけではないんだけど…まあ、気持ちの問題じゃない? その子の家料亭やってるから、そっちの商売繁盛の祈願も入ってると思う。鍛冶場の方は、できるだけハンターに幸が訪れるようにっていう意味もあるけど。…ま、気休めみたいなものなんだけどね。結局最後は、ハンター個人の実力にかかってるんだし。そもそもうちの鍛冶屋って廃業寸前だし。最近は鍋屋にでもなりそうよ」
「そんニャに切羽詰ってるのかニャ?」
「なんてったって、使ってくれてるハンターがあたしとリーゼと、姉さんとカエンヌだけだから。たった4人のハンターしかいないってのに今まで潰れないだけ奇跡よ」
「にゃふー……」
なんと声をかければいいのか迷ったのだろう。ちょっとしょんぼりしたルイーズをエリザが快活に笑い飛ばした。
「気にしないでいいの。あたしが生まれたときあたりからずっとそんな感じだし。今では副業としてやり始めた筈の研屋とか竜車造りで生計立ててるから。あ、あとはあたしと姉さんの儲けもあるわね。結構評判いいのよ。うちの竜車。『揺れない、壊れない、収納カンタン! ヴェローナ製竜車!』ってね。ロックラックとかからも注文が来るのよ。すごいでしょ? 狩猟弓と同じ原理で竜車を半分に折れるから、小さい倉庫でも収納できるのよ。しかもユクモの木を使ってるから頑丈だし、バネはうちの炉で使った特性の鉄を使ってるから伸縮が絶妙でね…」
「そ、それニャら良かったニャ」
また早口に語りだしたエリザにこちらから会話を終わらせる。先をゆくリーゼは既にある1軒の家の前で立ち止まっていた。ワインレッドに近い赤い布がひだを作って前を覆っている。その奥に木製の扉が見え隠れしていた。
「村長、いらっしゃいますか?」
リ
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