暁 〜小説投稿サイト〜
Monster Hunter ―残影の竜騎士―
11 「男が泣いていいのは人生3回だけ」
[2/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
るの。だから、皆自分の家の扉には大抵赤い骨飾りを掛けて、家に災厄を招かないようにしてるのよ。あと、屋根や柱に赤い布を巻いたり、赤い塗料を塗ったりもするわね」

 耳慣れない言葉にルイーズが小首をかしげた。ナギも内心で疑問に思う。

「骨飾りっていうのは、モンスターの骨を削ったりして作った飾りのこと。小さめの竜骨なんかが一般的だけど、ちょっとお金を出すと竜の牙とか、上竜骨とかで作る家もあるわ。あとはハンターになればそれの首飾りを肌身離さず身につけるのが一般的ね。…ほら、これよ」

 服の胸元を緩めて、その首飾りを見せた。ナギはちらりと視線を向けるにとどめる。ルイーズのようにしげしげとそれを見る勇気はなかった。主に視界に入ってくる胸元に。

「確かリーゼん家も良いもの使ってなかったかしら。うちはあたしが初めて狩ったジャギィの小竜骨を使ってるけど。ああ、でも鍛冶場には特注した火竜の翼爪を使ってるわね」
「大きい方がやっぱり厄払いの力も大きいのかニャ?」
「うーん、特にそう言うわけではないんだけど…まあ、気持ちの問題じゃない? その子の家料亭やってるから、そっちの商売繁盛の祈願も入ってると思う。鍛冶場の方は、できるだけハンターに幸が訪れるようにっていう意味もあるけど。…ま、気休めみたいなものなんだけどね。結局最後は、ハンター個人の実力にかかってるんだし。そもそもうちの鍛冶屋って廃業寸前だし。最近は鍋屋にでもなりそうよ」
「そんニャに切羽詰ってるのかニャ?」
「なんてったって、使ってくれてるハンターがあたしとリーゼと、姉さんとカエンヌだけだから。たった4人のハンターしかいないってのに今まで潰れないだけ奇跡よ」
「にゃふー……」

 なんと声をかければいいのか迷ったのだろう。ちょっとしょんぼりしたルイーズをエリザが快活に笑い飛ばした。

「気にしないでいいの。あたしが生まれたときあたりからずっとそんな感じだし。今では副業としてやり始めた筈の研屋(とぎや)とか竜車造りで生計立ててるから。あ、あとはあたしと姉さんの儲けもあるわね。結構評判いいのよ。うちの竜車。『揺れない、壊れない、収納カンタン! ヴェローナ製竜車!』ってね。ロックラックとかからも注文が来るのよ。すごいでしょ? 狩猟弓と同じ原理で竜車を半分に折れるから、小さい倉庫でも収納できるのよ。しかもユクモの木を使ってるから頑丈だし、バネはうちの炉で使った特性の鉄を使ってるから伸縮が絶妙でね…」
「そ、それニャら良かったニャ」

 また早口に語りだしたエリザにこちらから会話を終わらせる。先をゆくリーゼは既にある1軒の家の前で立ち止まっていた。ワインレッドに近い赤い布がひだを作って前を覆っている。その奥に木製の扉が見え隠れしていた。

「村長、いらっしゃいますか?」

 リ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ