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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第三十三話 唯一無二の決着
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撃つ。幾つかの杭は直撃するものの、それは彼を止めるには至らなかった。故に、この攻撃で仕留められなかったヴィルヘルムの敗北は決定した。

「俺の、勝ちだアァァァ――――――!!」

「がァアアァァァッ―――!!??」

司狼がヴィルヘルムを貫いたのは十字架だった。教会に取り付けられたそれは確かに前回シュライバーがヴィルヘルムを殺そうとして失敗したものだ。だが、それは形をのこして存在していた。ティトゥスが彼らとの攻防の最中に残したある種の遺品の一つである。そして、それは見事にヴィルヘルムを地面に貼り付けにし、抉り抜いた。

「糞が、俺の、負けかよ…だが、次に会ったら……今度こそテメエ等を、ぶち殺してやる。覚悟、しやがれ……」

「ざけんな。もうテメエとなんか会わねえよ。ヴァンピー」

「クク、クハハハハ、ハハ――――――そう思うんなら……そうしな。勝利万歳(ジークハイル)!!」

結局、最後まで彼にとっては満足のいくものだったのだろう。たとえ敗北であってもそれは彼の糧になりえたのだから。

「痛ッ!あーこりゃもう無理だな」

「だね、あたしら無理しすぎだね、ちょっと」

仰向けに倒れこむ二人。肉体的な限界は当の昔に過ぎており、最後の杭の数撃は彼らを死に迎えるには十分なものだった。

「賭けはテメエの勝ちでいいよ、蓮。だから死ぬんじゃねーぞ」

「こういう場合は、勝ち逃げっていうより、負け逃げなんだろうね」

「うわ、何だよそれ。めっちゃいやな響きだな。あークソ、ぜってえ勝てよ」

「こっちきても、叩きかえすからね」

そういって大の字になりながら共に倒れている二人の声は最後まで明るかった。最後まで軽いノリであいつも流してくれればと、そう思いながら彼らは眠るように何気なく目を閉じた。




******




「俺が、俺たちがラインハルトを斃して見せる。だから俺に力を貸してくれ、アンナ!ミハエル!あいつ等を一緒にぶっ斃すぞオォォォッ――――――!!」

およそ過程というものを飛ばしてでも叫び出たその言葉は彼らにとってその絶対性を揺るがすものだった。ロートス・ライヒハートという個人の記憶を呼び覚まし、ミハエルとアンナのことすら思い出す。それは欠けていたマキナにとっても失われていたルサルカにとっても喜び憂うことだった。

「ロートス!!」

「忘れていたその名を、呼んでくれるか、戦友(カメラード)!」

パシアスの内に眠っていたアンナはその眼を覚まし、自らの死を思ったマキナは戦友の呼び声に手を貸すことを良しとする。だが、それらの過程で得るはずだったものが失うこととなる。よくある話だ。そしてよくある話だからこそ総てが救われることなどありえない。故にこの戦いの敗者はただ
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