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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第三十三話 唯一無二の決着
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めてやることこそが上官の務めだと言わんばかりに褒め称える。

「だが私は―――」

ムスペルヘイムが歪んでいく。砲身そのものを創造することによって飛び火を防いでいた獄炎が、遊園地という戦場に溢れ出し、燃やし尽くす。

「そんなものなど求めん!私が望むのは、ただ一つのみ!
ハイドリヒ卿の(モノ)であること―――それのみが私の総てだ!救いなど求めん!助けなど求めん!彼のそばに侍る以上、脆弱さなど許されん!」

ハイドリヒ卿の爪牙として、赤騎士(ルベド)として、その大望に欠かせぬ英雄(エインフェリア)の一角であることこそが自分の望みであると。そう彼女は豪語する。

「なぜなら私は、彼と永劫、共に行きたい。彼と一つになる怒りの日(ディエス・イレ)こそ私のヴァルハラ……ッ!!」

それは彼女にとっては恋などという惰弱なものとは違うと、私の忠義はそんなものではないのだと言い聞かせるかのような部分も持ちながら断言する。女である自分は認めないと、そういいながらその言葉は逆に女であることを認めていた。

「故にだ、キルヒアイゼン。私は何度でも蘇るぞ。続きは次に会った時だ。貴様は逃がさん。共に来い!!」

「ええ、お付き合いいたしますから」

そう言うと同時にエレオノーレの首が軍刀によって刎ねられる。

勝利万歳(ジークハイル)。御身に勝利を、ハイドリヒ卿」

「Auh Wiederseh'n Obersturmf?hrer.」

今はもうここにいない“中尉”に向けて、ベアトリスは敬礼した。そして、

「ごめんなさい……私は昔から、無力だから。でも、頑張ったよ。許してくれるかな、戒」

粉雪が崩れるように彼女の魂が消え始める。限界など当の昔に超えている。もはや数分も持たずに消える運命だろう。

「少佐はあんな人だから、私はやっぱりついていくよ。だからごめんね、許してね。あなたたちは大好きだけど、もっと一緒にいたいけど、私は元々この時代の人間じゃない。還るところは、やっぱりあの日の祖国なの。
悔いがないといえば嘘になるけど……ほんとはもう、お婆ちゃんなのに。恥ずかしいな、馬鹿みたい」

消え入りそうになる体を顔すらあげることのできない状況で、一人消え入りそうになったとき、

「ベアトリス!!」

びしょ濡れで普段なら切らせない息を切らせながら、それでも懸命に声を張り上げて彼女は叫んだ。

「……螢!?」

「行かないでよ!逃げないでよ!、またあの時みたいに置いていかないで!!兄さんだって、きっと―――」

声を張り上げながら叫ぶ螢。片手に彼女に合ったサイズになった黒円卓の(ヴェヴェルスブルグ・)聖槍(ロンギヌス)を持ちながらベアトリスに近寄る。

「でも、私はもう、無理な
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