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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第三十三話 唯一無二の決着
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?」

無理矢理、体を引きちぎり、闇から逃れたカリグラは影に向かってそう尋ねる。いつかの病院での戦いによってつけられたギロチンの呪いに首を裂かれた神の僕は痛みからか、それともカリグラに逃げられたことからか叫びをあげる。

「ナウヨックス、テメエの残滓みたいなもので動いてるみたいだな。それだけは助かったというべきかもな」

そういってカリグラは武器すらないその身で自らのかつての主に本当の意味で牙を向けた。たとえその結果は敗北が必然であろうとも。
そして、彼は喰い殺され、影もまた身の内に迫る死滅の崩壊に耐え切れず、霧散した。結果、初めから何もなかったように影の残滓もカリグラも死して消えた。




******




「――――――ッ」
「な――――――」

戦火に燃える砲の内で彼女達は共に驚愕の表情を露わにしていた。方や自身の実力に、魂の密度に、絶対を確信していたが故に、方やこの身は届くことなく彼女の炎に溶かしつくされると思っていたが故に。
だが、その結果は覆された。焔の一撃が届く寸前、両者の時間に確かな差が生まれた。刹那の差に過ぎないがそれは両者にとって致命的な隙を見せることとなる。

「なぜ、今頃になって―――」

首筋から血がこぼれる。単純に隙を見せるだけなら問題はなかった。いや、精神的なものは甚く傷つくことになっただろうが、身体的には届いた軍刀によって傷つけられることなどなかっただろう。だが、結果は違った。
病院で受けた呪い、ギロチンの首切りがこのタイミングで再び発露したのだ。確かに完治したはずの傷が再び現れる。普段の状態であれば余裕をもって傷を庇うことも出来たであろう。しかし、刹那の時間の停滞が命運を分けた。

「どうやら、若い子たちに助けられたようですね」

実際、ベアトリス一人では何もできず、どのように足掻こうとも敗北していただろう。だからこそ、これを己の勝利とは思わない。

「あなたに勝てたとは思いません。だけど、私はこの結果を誇ります。戒がいて、螢がいて、そしてあの子がいてくれて……彼の友達までもがこんな私を助けてくれた。それだけで私は間違ってなかったんだと思えるから。
少佐、あなたは幸せですか?あなたに、危機を救ってくれる同胞はいるのですか?」

泣きそうな声でそう言いながら彼女はザミエルに顔を向ける。まるで幼子が嬉しさと寂しさと悲しみを混ぜ合わせて隠したがるような表情で彼女を見つめた。そんなどこまでも自分の今の感情がわからないといって風な顔を見て、エレオノーレは溜息をつきながら言葉を放った。

「まったく、この馬鹿娘。貴様は愚かで青臭く、だが気高い騎士だキルヒアイゼン。礼をもって送るしかあるまい。今は自分の勝利を誇れ。貴様は私に勝ったのだ」

それを勝利だと認
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