暁 〜小説投稿サイト〜
Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第三十二話 紫電と灼熱
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
彼女の創造と思っていたものは違うのだと。

「我を焦がすこの炎が 総べての穢れと総べての不浄を祓い清める (Das Feuer, das mich verbrennt, rein'ge vom Fluche den Ring! )
祓いを及ぼし穢れを流し熔かし解放して尊きものへ (Ihr in der Flut l?set auf, und lauter bewahrt das lichte Gold, )
至高の黄金として輝かせよう (das euch zum Unheil geraubt. )」

赤化(ルベド)は黄金を生む最終形態。水のように不純なものに染まる道理など無く、即ち獣に最も近く、崇拝し、敵を撃滅すべき剣―――

「すでに神々の黄昏は始まったゆえに (Denn der G tter Ende d mmert nun auf. )
我はこの荘厳なるヴァルハラを燃やし尽くす者となる (So - werf' ich den Brand in Walhalls prangende Burg. )」

圧倒され、動けなかったのはほんの数秒。だがそれで総てが手遅れだった。

「創造 (Briah―― )」

抜刀が起きる。何が何でも抜かせてはならなかったというのに。(スルト)の剣が世界を包み、燃やし尽くす。その銘は、



「焦熱世界・激痛の剣 (Muspellzheimr L?vateinn )」



「ッ―――――砲身の…中?」

灼熱の閉塞された世界に閉じ込められ、ベアトリスは気付いた。ここはドーラ列車砲のバレルの中なのだと。

「そうだ、故に分かるな。絶対に逃げられぬとはこういうことだ。逃げ場など、最初から何処にも存在しない世界(モノ)をいう。
勝負ありだ。最早どうにもならん。受け入れろ、諦観して座すがいい。所詮、貴様はハイドリヒ卿は愚か、私すら超えられんと」

「嫌です。私はあなたを救うんです」

「何故だ」

本当に訳が分からないとばかりに、ザミエルは呆れすら含ませながらそういった。

「だって少佐、友達いないじゃないですか」

そんな戯言を何故そうも頑なに吐き続けれるのか。打つ手は無いというのに。既に砲身は発射し始め、彼女がエレオノーレに勝つことなど出来はしないというのに。

「だからせめて、馬鹿みたいに付いて行ける私ぐらいは乗り越えてあげないと。目を覚ましましょうよお姫様。その火をあなたに与えた男はろくなもんじゃないんです」

「ジークフリート気取りか」

「女同士じゃご不満もあるでしょうけど」

(私はここで砕けてもいい。だから戒、力を貸して。あなたの妹を守るためにも。あの人だけでも連れて行くから)

「戻りましょう、少佐。ザミエル
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ