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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第三十二話 紫電と灼熱
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―――遊園地―――
雷光の一撃。創造位階に達したベアトリスの一撃はまさに閃光といえた。その速さもさることながら稲妻と化したその身体はエレオノーレの放った炎や銃弾をも透過する。ベアトリスはその剣に確かな手応えを感じながら駆け抜け振り返る。
「ふむ……誇れ、大した戦果だ」
「冗談、きついですよ……」
エレオノーレは裂かれた頬を押さえながら、感慨深げにそう褒める。だが、ベアトリスからしてみれば素直に喜べることではなかった。狙ったのは首であり、それを狙って尚、頬を掠めることしか出来なかった。自らの最大のアドバンテージともいえる速度を持ってしてもこれだけの成果しか得られなかった。
だが、そうしたベアトリスの心情は当然とした上で、エレオノーレに傷を負わせたことは称賛に値する。彼女等二人は共に武装具現型であり、最もスタンダードな基本の型だといっていい。
故にこの型に得手不得手は存在せず、マキナの攻、クリストフの防、シュライバーの走、ルサルカの魔といったように何かが極端に突出せず、代わりに穴も存在しない。どちらかといえば彼女等は指揮官型なのである。
陣形や武器の種類によって一長一短があるように融合や展開、特殊の型には基本的にどれか一つを極端に絞られている。だが、具現型は指揮官の才を持つ故に流動的に形を変えれる。それは状況に応じて全ての対応が出来る代わりに、一点特化した者らほどの爆発力を持ち得ない。
言い換えれば器用貧乏ともいえるし、兵力が脆弱であれば決定力が皆無の弱者とさえいえる。だが、
「相変わらず少佐は隙が無さ過ぎですよ」
高レベルの者は目の前にいるエレオノーレやラインハルトのように文字通り万能。無敵と形容できる存在になる。
百を五つに分ければ二十だが、それが万となれば一つあたりに二千となる。この領域に至れば当然、格下に足元をすくわれることなどありえない。螢が傷を負わせれた事でさえエレオノーレからの直接の助言があったからこそだ。にもかかわらずエレオノーレを兵力で劣る同タイプのベアトリスが傷を負わせれたのは、彼女の魂と指揮官としての才が彼女に匹敵していることに他ならない。そして彼女はそれほどの英雄としての資質を持つが故にこの程度の戦果では誇れない。事態を把握し、自嘲的な言葉を紡ぐだけだ。
「ここで私が喜んだら、どうせ馬鹿者とか言うんでしょう?」
「どうも貴様は、私を極度の嗜虐家だとでも思っている節があるが……そんなことはない。公正かつ冷静に見て、評価できるものには評価を惜しまん。
辛辣に見えるのはつまらん輩が多すぎるのと、自己評価がまともに出来るやつが居なさ過ぎるからだ。あの櫻井の小娘とて、身の程さえ弁えていれば私は評価している。少なくとも側においてやろうと思うほどには」
「自分で凄い俺様宣言し
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